鉄拳8は賛否両論の評価を得ています。
コンセプトである「アグレッシブ」の捉え方によって、プレイヤーの好みが分かれるのでしょう。
前作である鉄拳7と比較しながら、鉄拳8がどのようにアグレッシブになったのかを解説します。
なるべく分かりやすく解説するので、ぜひ最後までお付き合いください。
結論から、
「攻めが強くなり、受ける側がやれることが減った」
これが鉄拳8のアグレッシブ調整であり、賛否がわかれる部分です。
以下に、分かりやすい例を4つ紹介します。
■鉄拳7→下段を受けても続く連携をしゃがんで反撃できる
◆鉄拳8→下段を受けたら続く連携をしゃがめず反撃できない
反撃したいのなら最初からしゃがむしかありません。
■鉄拳7→ガードしたら続く連携をしゃがんで反撃できる
◆鉄拳8→ガードしたら続く連携をしゃがめず反撃できない
こちらも反撃したいのなら最初からしゃがむしかありません。
鉄拳7→攻撃を受けても横移動で回避して反撃できる
鉄拳8→攻撃を受けたら横移動で回避できない
横移動で避けられません。
◆鉄拳7→しゃがみ投げは抜けられる
■鉄拳8→しゃがみ投げは抜けられない
しゃがみ投げは抜けられなくなりました。
動画の技を例に解説すると、しゃがんでいれば、下段、しゃがみ投げともに全対応だったのが、全対応では無くなりました。
上に挙げた4つの技の調整がとても分かりやすいアグレッシブ調整です。
技のリスクが減り、簡単に押し付けられるようになりました。
「攻めが強くなり、受ける側がやれることが減った」のです。
前作である鉄拳7では、受ける側の取れる行動が豊富です。
技を受けたとしても、反撃のポイントがあり、致命傷を避けるための選択肢が無数に存在しました。
受ける側が最適解を選択するのが、鉄拳の上手さであり、鉄拳の強さを支える部分でした。
鉄拳8では「受けるしかない」のです。
受ける側の選択肢が減ったので、強制的に読み合いに引きずり込まれます。
上手いプレイヤーが、「鉄拳8は初心者もイケる」と言っているのはこの辺です。
プレイヤーのスキルに関係なく、読み合いに持ち込むことができるのです。
前作である鉄拳7では、受ける側の選択肢が無数にあるので、初心者は読み合いに持ち込むことすらできないんです。
実際にプレイしていると、本当に技が強いと感じます。
(そこでその技を打つか~なるほど)ではなく、
(その技強すぎ、どうしようも無いじゃん…!)と思うことが多いです。
プレイヤーの心情としては、「相手に負けた」のではなく、「強い技に押し潰された」という印象が拭えません。
鉄拳8が煮えやすいのは、この辺りも原因なのではないかと思います。
さらに補足すると、
鉄拳8では投げがホーミング(横移動を潰す)になりました。
受ける側からすれば、横移動という防御の選択肢が1つ潰されたことになります。
(※鉄拳7では投げを横移動で回避できます)
新要素「ヒート」による神も逆らえない完全二択。
どうあがいても相手の読み合いに付き合うしかありません。
大幅にプラスフレームを取られる技を押し付けられる場面が増えました。
ファジーガード、バックステップ、横移動などの防御手段が通用せず、受けるしかありません。
これらの調整が賛否を呼んでいる部分です。
「アグレッシブという理不尽の押し付け」
上級者ほど、不満を抱くのは理解できます。
ぶっぱゲー
じゃんけんゲー
荒らしゲー
パチンコゲー
これまで培ってきた防御のスキルが通用しなくなり荒らされまくる。
上級者の不満が噴出するのは仕方のないことでしょう。
鉄拳7を将棋とします。
理詰めでひたすらマジレスするゲームです。
鉄拳8は、いきなり碁盤をひっくり返して殴りかかるようなゲームです。
圧倒的な理不尽。
これまで積み上げた局面、戦術、スキルも簡単にひっくり返されます。
上級者は口を揃えて言います。
「くだらない」
これが、現段階の鉄拳8で起こっていることです。
ボクは鉄拳を20年以上プレイしていますが、鉄拳8が賛否両論となるのは凄く分かるんです。
鉄拳8が嫌いな人の気持ちも本当によく分かります。
誤解を恐れず言えば、
対戦ツールとしての出来は前作である鉄拳7の方が上です。
(※鉄拳7は9年も運営してますから、出たばかりの鉄拳8と比較するのはフェアではありませんが…)
鉄拳8のゲームバランスは滅茶苦茶と言っても良いでしょう。(※キャラバランス以前にゲームバランスが大雑把です)
これまでの鉄拳が積み上げてきた、さまざまな部分が崩壊しています。
個人的には、鉄拳8最高ですけどね。
アグレッシブ最高です。
これまでの鉄拳は受ける側が強すぎたとも思うんです。
受ける側に無数の選択肢があるということは、受ける側に常に保険が掛かっているということでもあります。
そりゃあ待ちますよね。
カサカサ、ヘコヘコと後ろに下がりながら様子見するゲームになりますよね。
受けている方が得をするんだったら、誰もが守りに入って消極的なプレイになります。
だからみんな下がるんですよ。
下がって受けていた方が楽なんです。
受ける側に無数の選択肢があり、受ける側が安定する方が、荒らされず対戦ツールとしての完成度は高くなるでしょう。
上級者としては、そちらの方が良いに決まっています。
そして、受けが強いゲームだからこそ、受けの技術を大切にし、受けが上手いプレイヤーが称賛されて来たのが鉄拳です。
ただ、時代は鉄拳8です。
アグレッシブがコンセプトなんです。
もっと「攻め」を評価しても良いのではないかと思います。
これまでは、「守り」が評価されすぎていました。
ゲーム性もそれを後押ししてきました。
技の当て感であったり、二択を通す読み合いの強さ、優れた攻めの感性を持ったプレイヤーだって、もっと評価されるべきです。
攻めを通すことに対して、ぶっぱ、荒らし、押し付け、そういったネガティブな言葉で一蹴してきたのが鉄拳界隈です。
確定反撃、ファジーガード、横移動による回避、バックステップによるスカし確定など、守備的な技術は称賛されるのに…。
意識改革と言えば大げさですが、プレイヤーも固定観念をもう少しほぐしても良いのではないかと思います。
ボクは、鉄拳8に対して「殺傷能力を競うゲーム」だと割り切っています。
ぶっぱ、荒らし、押し付け、すべて上等です。
だってそういうゲームに生まれ変わったのですから。
鉄拳8の調整は大雑把ですが、
(これくらいやらないと結局は待ちゲーになるよね)とも思います。
ちゃんとコンセプトに沿ってアグレッシブな調整になっています。
もう下がりながら様子見するゲームは飽きました。
鉄拳8が、鉄拳7シーズン6みたいなゲームにならなくて本当に良かったと思っています。
ボクは鉄拳8のアグレッシブを、これからも全力で推します。
でも文句を言う人の気持ちも本当に良く分かります。