昭和に制作された特撮怪獣映画です。
空を飛び、超音波を吐き出す、ギャオスとガメラの対決を描いた作品です。
また、この作品から昭和ガメラは子ども向けの娯楽作品へと様変わりしています。
つまり、ガメラは人類の脅威ではなく、子どもの味方となり、アイドル怪獣となるのです。
・コンプラを守った作品が見たい方
・子どもと一緒に見られる作品が見たい方
個人的に好みの作品ではありません。
決して駄作ではないのですが…
しかし、ガメラが子ども向け作品へと舵を切ったことによって、いろいろと歪な構造になっているのです。
ガメラが子どもを無条件に助ける英雄的な怪獣になってしまったことで、緊張感が無いのです。
とある少年の行動がすべてを解決し、すべて肯定されるような展開では、いわゆる大人の事情(コンプラ)が見え隠れし、ノリづらいです。
ギャオスはとてつもなく恐い怪獣となっています。
冒頭から飛行機を超音波で切断するシーンに始まり、日本を飛び回って街を破壊するギャオスは心底恐ろしいです。
ガメラとの怪獣バトルもグロテスク。
ガメラの腕を切断寸前まで追い詰めます。
このシーンは本当に痛々しくて見ていられません(もちろん褒め言葉)。
ガメラに足を噛み付かれた際にも、自身の足を超音波で切り捨てて脱出するというグロテスクな荒業を披露します。
ギャオスの設定も面白いです。
喉骨が二本あることによって、それが音叉の役割を果たして超音波を吐き出す。
※音叉(おんさ)↓
首を後ろに回すことができない。
血を好む。
夜行性で紫外線が弱点のために、夜しか活動できない。
自己再生能力がある。
胸から突風を吹き出す。
空を飛ぶ生物が遠距離攻撃も持っていたら、そりゃ強いですよね。
しかも自己再生までできる。
ギャオスは凄いんです。
しかし、物語の主軸に子どもを持ってきたことにより、ギャオスがどんなに恐ろしい怪獣だとしても、緊張感がありません。
子どもは物語の設定に守られ、絶対的な安全圏に位置するからです。
何をしても肯定されますし、ガメラが助けてくれます。
ここら辺が何とも歪なんですよね。
もちろん、ボクが言っていることは意地悪な大人のツッコミです。
そもそも、ボクの好みの問題なので、気にならない方は気にならないでしょう。
作品としては良くできているし、凄く面白いですが、好みではない作品ですね。
せめて、ガメラがなぜ子どもを助けるのか?を描いていたら、少しは印象が変わったかもしれません。
子どもの存在がボクにとってはノイズ過ぎました。