格闘ゲームで生き残る

【格ゲー考察Part.23】簡易化と楽しさの両立、新規参入と古参の引き止め【鉄拳、ストリートファイター】

昔話をします。

鉄拳6がアーケードで稼働したばかりの頃です。

身内のキング使いが、キングを使うのを辞めてしまいました。

 

話を聞いてみると、

「空シャ」「ソバット」の調整が気に入らないとのこと。

 

空シャとは、ランニングジャガーボムのことです。

コマンドは、空中の相手に666RP+RKです。

キングのコンボでよく使用する技ですね。

空中の相手にシャイニングウィザードのコマンドを入れるという意味で、昔は「空シャ」と呼ばれていました。

ソバットとは6RKのことです。

 

鉄拳6で追加された「バウンド」「ホーミング」によって、空シャは簡単になり、ソバットは強化されました。

 

前作の鉄拳5DRでは、空シャがとても難しかったんです。

コマテクがある人間しか出来ませんでした。

空シャが出来るだけで、一人前のキング使いとして見られるほどです。

キング使いたちはジャブを何回刻んで空シャを決められるか、コマテクを競い合っていた記憶があります。

 

ソバットはホーミング属性が付与されることで、簡単に横移動を抑制することが出来るようになりました。

さらに、中段なので投げをしゃがむ相手に刺さりやすいです。

投げとソバットの二択が強力でした。

(※鉄拳6では、投げ抜けが現在よりも圧倒的に難しいです)

 

身内の言葉をそのまま書くと、、

「誰でも空シャ出来るようになったじゃん、壁際でソバットと投げの二択とかお手軽過ぎ、そういうことじゃないんだよ、キングはもう厨キャラ」

※昔はくだらないキャラを「厨キャラ」と表現する文化がありました

 

強化されたのに文句を言って辞めるとは、何とも贅沢な気もしますが…

格闘ゲーマーであれば、気持ちが分かるのではないかと思います。

※余談ですが、簡単になったとは言え、鉄拳6での空シャは普通に難しいです。

 

強くなったり、簡単になることは、必ずしも古参の職人プレイヤーに受け入れられるものではないのです。


 

ストVが発売して、実際にプレイしたとき、同じようなことを思った記憶があります。

スト5は前作であるスト4と比べて、ゲームそのものの難易度が大きく下がりました。

 

とくにコンボが簡単になりました。

スト5はレシピさえ覚えれば、誰でも大ダメージコンボが出来ます。

 

スト4は本当にコンボが難しく、コンボを完走するだけで場が盛り上がるほどです。

 

スト5は大幅に難易度を下げることによって、裾野を広げました。

その引き換えに、職人的な尖ったプレイを披露し辛いゲームです。

コマテクよりも、知識に偏ったゲームになったのもそれに拍車を掛けています。

 

昔ながらの職人気質なプレイヤーは、おそらくスト5が嫌いでしょう。

実際にスト5は好き嫌いが分かれるゲームです。

 

ちなみにボクはスト5が好きですが、嫌いな人の気持ちも良く分かります。


 

ゲームとしての難しさを保つと、往年のファンを引き止められます。

ただ、新規は難しすぎて参入できません。

 

ゲームをより簡単に、お手軽にすると往年のファンが離れます。

ただ、新規が参入しやすくなります。

 

ジレンマですね。

 

当たり前ですが、メーカーはとっくにこの構造に気付いています。

そこで現在やっている調整が、

「誰でも簡単に出来るけれども、あえて難しいことをしたらご褒美を貰える」です。

 

スト6モダンクラシックが分かりやすいですよね。

モダン

誰でも簡単に必殺技が出せるし、コンボも出来るけれど、ダメージが低くなっている。

クラシック

難しい操作を必要とするけれど、ダメージが高く、立ち回りやコンボに融通がきく。

 

個人的に、スト6のモダンは格闘ゲーム史における革命だと思っています。

 

鉄拳8も同じような調整を行っています。

簡易コマンドがさまざまなキャラに実装されました。

 

たとえば、ロウチャージドラゴン(CD)は前入れだけで出せます。

従来通りの難しいコマンドを入力すると、派手なエフェクトと共にダメージが上がります。

 

新キャラの麗奈も、簡単に風神ステップが出せます。

ただし、従来通りの難しいコマンドを入力した方が立ち回りに幅が出ます。

 

「誰でも簡単に出来るけれども、あえて難しいことをしたらご褒美を貰える」

 

スト6も鉄拳8も素晴らしい調整をしていると思います。

より大勢の方が格闘ゲームを楽しめるようになることを願っています。

 

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