クワイエット・プレイスシリーズの三作目です。
音に反応する怪物が地球に飛来した最初の日を描きます。
・人間ドラマが見たい方
見る価値がありません。
駄作です。
2024年度のワースト候補です。
本作は、音に反応する怪物によって「世界が滅びたあと」を描いた前作とは違い、怪物が飛来した「最初の日」を描きます。
「本当にこんな怪物に世界はなすすべも無くやられたのか?」という疑問にメスが入れられるのかと思いきや…まったく入れられません。
本作がどのような話なのかと言うと、「市井の人たちが怪物から逃げ回る」だけです。
世界規模の脅威に対して、市井の人々の視点から物語を描く、それ前作でも散々やったことですよね。
とくに物語が掘り下げられないんですよ。
前作の主人公一家の他に、こういう人もいましたよ、くらいのお話です。
本当に何のために作ったのか分かりません。
怪物は音に反応する。
怪物は泳げない。
怪物の弱点を見つけるまであまりに早すぎるし、そのプロセスも描かれません。
怪物が何かを食べるシーンも暗すぎて何をやっているのかよく分からない(実はものすごく重要なシーンだと思うのだが…)し、怪物の描き方が適当過ぎます。
怪物が記号でしかないんですよ。
音に反応して襲ってくるだけの脅威でしかなく、生態が深く掘り下げられたり、能力を生かしたとんでもない襲い方を魅せるわけでもない。
怪物グラビアとしても全然駄目です。
主人公に対して、理解のある彼くんが現れて無条件に尽くす様子も意味が分からなくてノれません。
ピザ屋でのシーンなんて、心底どうでも良くて怒りすら湧いてきました。
途中まで物語がどこに向かっているのか分からないのも退屈なポイントです。
主人公がどこに行こうとしているのか?(理解のある彼くんの行動原理がもっとも分からないが…)
あとから、取って付けたような主人公の行動原理が明かされても白けるだけです。
そんな人間ドラマをDay1でわざわざやる必要があるのか?
前作までの、耳が不自由であるがゆえに、聴覚が発達した怪物との対比になっている、というような人物的な仕掛けもありません。
病気の人間が最後に思い入れのある場所を訪れる。
クワイエット・プレイスでやる必要がどこにあるんですか?
怪物がいる必要も無いし、そこら辺のロードムービーでやってれば良いじゃないですか。
登場人物にまったくノれません。
作品内でやたらと存在感を強調している「ネコ」の描き方も適当です。
物語的にネコがいる意味が無いし、ネコの生態から言って無理がある。
ボクはネコを飼っていますが、あんなネコなんてありえない。
鳴かない、主人公がどこにいようが戻って来る、それはもうネコじゃない。
物語に「都合の良い小道具」でしかない。
怪物の描き方は不誠実。
人の描き方は中途半端。
ネコの描き方は適当。
こういうシーンを撮りたい。そのためにはこういう人たちと小道具が必要。
その考えは間違っていませんが、各々の掘り下げ方がずさん過ぎます。
全体的に適当です。
怪物に対処しようとするも蹴散らされる軍隊。
インフラは崩壊し、世界が機能を失われていく。
この怪物は強すぎる。人類では勝てない。
ここをしっかり描かないとDay1の意味がありません。
少なくとも、「これをやられた(やってしまった)から人類は敗北してしまった」という分かりやすい理由付けはするべきです。
何のために作った作品なのか本当に分からないんですよ。
市井の人々が怪物から逃げ回る。
前作でも散々見ました。
しかも前作よりも明らかに面白くない。
本作がDay1だろうが、Day2だろうが、Year3だろうが、何も変わりません。
Day1である意味がない。Day1を描いていない。
何のために作ったんですか?
存在意義が本当に分からない駄作でした。