ゲームで生き残る

「モンスターファーム2」と奇跡のリアリティ

ボクが小学生のころに、モンスターファーム2というゲームが大流行しました。

クラスメートの男子の8割くらいはプレイしていたと思います。

例にもれずボクも夢中になってプレイしていました。

 

モンスターファームというゲームは、モンスター育成シミュレーションです。

自分の好きなモンスターを育て戦わせるゲームです。

そして難易度がとても高いです。

この難易度について少し切り込みます。

 

~モンスターファーム2の難易度が高い理由~

<説明不足>この一言に尽きます。

モンスターファーム2というゲームは全体的に説明不足なんです。

テキストの説明と実際の仕様が乖離していることが多々あります。

たとえば、モンスターのエサである「ビタミンもどき」。

この「ビタミンもどき」というエサには、モンスターのストレスを下げる効果があります。

しかし、テキストにはそのような効果は書かれていません。

ストレスというのは、モンスターの寿命に直結するとても大事な要素なんです。

つまり、強いモンスターを育てたいのなら、ビタミンもどきをエサとする必要があります。

テキストから、ビタミンもどきの重要性を読み取ることは無理です。

そもそも、モンスターファーム2では、ストレスという大事な要素に対する説明もほとんど無いんです。

もうひとつ例を出しましょう。

このゲームには「黄金モモ」というアイテムがあります。

モンスターの寿命を延ばす、強力なレアアイテムです。

しかし、これもやはりゲーム上のアイテム説明と実際の効果が合っていません。

「黄金モモ」は寿命を延ばすのではなく、寿命を巻き戻すんです。

モンスターの延命措置として使うのではなく、モンスターの成長期(ピーク)を延ばすために使うアイテムなんです。

つまり、死にかけのモンスターを延命するために使うのではなく、成長期が過ぎたモンスターに与えて(寿命を巻き戻して)、もう一度成長期に戻すというのが、ゲームを攻略するうえで正しい使い方なんです。

 

このように、色々と説明不足なんです。

現代人の感覚からすれば、ただの説明不足の理不尽ゲーに思えるでしょう。

しかし、モンスターファーム2は育成シミュレーションなんです。

モンスターを育てるゲームなんです。

ここに、奇跡のシナジーが発生します。

生き物を育てるという行為は理屈だけでは説明できません。

予想もしないことが起こります。

自分のとった行動に対して相手は予想外の反応をします。

つまり理不尽なんです。

小学生であっても、モンスターを育てていて、違和感に気付きます。

(何で思った通りの反応が得られないんだろう?)

(何で思った通りに育ってくれないんだろう?)

当然です、そもそもゲームの作りとして、説明と効果が乖離しているのですから。

これが育成シミュレーションとしてのリアリティに大きく貢献しています。

さらに、当時はネットが普及する前だったので、攻略サイトにアクセスすることなんてできません。

みんなで必死に試行錯誤していました。

現代であれば、いつでもリアルタイムで攻略情報を受け取ることができます。

それは素晴らしいことですが、きっとそのような環境でプレイしていたら、育成シミュレーションではなく作業ゲームとなっていたでしょう。

攻略サイトの存在は、時としてゲーマーにとって功罪となるのです。

 

テレビの前で夢中でモンスターを育てていたあの頃は、ボクにとって、とても大切な思い出なんです。

大人になった今にして思えば、たくさんの奇跡によってあの経験が支えられていたことに気付きます。

本当に素晴らしいゲームを最高の環境で遊ぶことができました。

ありがとう、モンスターファーム2。



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