太っちょでイジメられっ子のサラ。
ある日、一人でプールに出掛けると、いつものようにクラスメイトからのイジメにあってしまう。
その帰り道、自分をイジメているクラスメイトたちが誘拐される場面に出くわすのだが…
どこのサイトでも、ジャンルは「ホラー」と表記されていますが、実際にはホラーというよりもスリラーやサスペンスに近いです。
スペイン映画です。
ゴア表現(グロ)もありますので苦手な方は注意です。
・青春モノが好きな方
・ちょっと変わった映画が見たい方
面白いです。傑作だと思います。
主人公のサラですが、ビジュアルが素晴らしいです。
彼女が画面に映るだけで絵になるんですよ。
陰鬱な空気を纏い、いかにも何かが起こりそうな気がしてきます。
もちろん演技力も凄くて、彼女無しでは本作は絶対に成り立たないでしょう。
太っちょの彼女ですが、家族全員が太っているところを見るに、本人だけに原因があるわけでは無さそうです。
食事や親の教育など、育った環境にも原因がありそうなのが、キャラクターの描き方として好みです。
高カロリーのお菓子をよく食べていますが、ストレス食いのようにも見えます。
一人でプールに出掛け、クラスメイトにイジメられた帰り道、クラスメイトが謎の男に拉致されるところに出くわしてしまいます。
助けるべきか?
放っておくべきか?
理性と感情の狭間で葛藤するシーンはスリリングです。
助けるべきなのは分かっているけど、奴らは自分をイジメているし、そもそも怖いし…
自分の選択は正しかったのだと言い聞かせるように、後々にクラスメイトが自分に対して行ったイジメ行為を振り返るシーンは印象的です。
昨今では当たり前の描写となりましたが、SNSを使用したイジメは本当に胸糞が悪いです。
法律で禁止されるのも仕方が無いと思います。
いくら現実逃避をしても、クラスメイトが消えたという大事件に世間は騒がないはずが無く、警察も動き出します。
目を逸らしたい現実が、主人公の日常に侵食して来る様子にはゾクゾクさせられます。
主人公にとって真実を打ち明けることは、自分がイジメを受けていたことを告白するのと同義です。
簡単には打ち明けられないですよね。
それは本人にとって尊厳を守る戦いでもあるのです。
周囲の人間は、「話して欲しい」なんて言いますが、正直に相談した方が良いなんて本人は分かっていると思います。
簡単に折り合いを付けられるものではないのです。
胸を締め付けられます。
そのうちに、主人公はクラスメイトを誘拐した犯人に淡い恋心を抱いたり、(この映画はどこに向かっているのだろう…?どこに着地するのだろう?)と最後まで目が離せません。
オチに関して、ボクは最高だと思います。
人間の尊厳を守り通した素晴らしい青春劇として幕を閉じます。
大人になり、人として大きく成長し、強くなった彼女がそこにいるのです。
おすすめの作品です。