鉄拳のプロゲーマーとして活躍する「チクリン」選手の凄さについて語ります。
「勝つために必要なものだけをピックし、愚直なまでにやり込む」のがチクリン選手の凄さだと思います。
直近では「EVO Japan2024」という格闘ゲームの世界大会で優勝しました。
動画の5時間43分から再生すれば、チクリン選手の決勝戦が見られます。
圧巻の試合内容です。
ボクが初めてチクリン選手を見たのは、鉄拳6だったと思います。
当時のチクリン選手は、ジャックを使っていたような記憶があります(うろ覚えですみません)。
プロゲーマーとなり、その名が爆発的に売れたのは鉄拳7からですが、古参の強豪選手です。
「努力のラストサムライ」
EvoJapan2024の優勝を踏まえて、チクリン選手の凄さを3つにわけて語ります。
1.レバーからパッドに変更する
鉄拳8でチクリン選手はレバーを捨ててパッドに移行しました。
「ファイティングコマンダー」というパッドを使用しています。
パッドに移行した理由として、コマンドの入力的に「横移動が早い」こと、「後ろに下がる必要がない」ことを挙げています。
使い慣れたレバーを捨て、現行のゲーム性に合わせた最適なデバイスをチョイスしています。
鉄拳8の発売日が1月26日、EvoJapan2024の開催日が4月27日です。
およそ3ヶ月でパッドに慣れて仕上げた来たことになります。
そのやり込み姿勢に驚くばかりです。
余談ですが、ストリートファイター6、鉄拳8、ギルティギアストライヴ、いずれの優勝者もパッドプレイヤーです。
格闘ゲームにはパッドの波が来ているのかもしれませんね。
2.リリをピックする
これまでのシリーズで、チクリン選手がリリを使用することはありませんでした。
リリを使い始めたのは鉄拳8からです。
使い慣れていないキャラを選んで結果を出すのも凄いですが、ちゃんと「自分が勝てるキャラ」をピックしたのが凄いです。
前作の鉄拳7でも同様に、いち早く「ギース」をやり込んでいました。
ゲスト参戦した2Dキャラを鉄拳勢は嫌う傾向があり、やり込むプレイヤーは少なかったです。
しかし、周りがどうであれ、チクリン選手はちゃんと自分が勝てるキャラをピックするのです。
キャラ選びに頓着が無いんですよね。
「勝つ」、その一点に思考が向けられていて「キャラ愛」や「評判」なんて二の次です。
鉄拳8でもその姿勢が表れていました。
余談ですが、TWT2019の決勝戦にてチクリン選手は突如として「豪鬼」をピックしました。
これまでチクリン選手が豪鬼を出したことはありません。
決勝戦の相手である「Ulsan」選手に勝つためだけにひっそりと豪鬼をやり込んでいたらしいです。
結果を出すことがプロの仕事であるのなら、これほど正しい姿勢はありません。
3.山ステを捨てる
「山ステ」とは、高速でバックダッシュを繰り返す、鉄拳シリーズの代表的な防御テクニックです。
鉄拳8では「アグレッシブ」がコンセプトとなり、攻めが強いゲームとなりました。
チクリン選手は、山ステをせず、どんどん前に出るプレイをしています。
実際のプレイ動画を見ても、全然下がらないんですよね。
今作のゲーム性に完全に適応しています。
「攻めが強いゲームとなったから、下がらず前に出る」
言葉にすれば簡単ですが、やっていることはとんでもないですよ。
ストリートファイターで言えば、投げをしない、飛ばない、中足を打たない、これくらい違うゲームをやっています。
それほど鉄拳においては、山ステが強行動だったんです。
これまでの常識を完全に捨てています。
山ステを切り捨てるのはとんでもない判断です。
山ステが手癖となっている古参プレイヤーたちのなかで、チクリン選手は最速で現行の鉄拳に適応したのです。
1.パッドに変更する
2.キャラを変更する
3.戦略を変更する
これまでの常識を捨てて、3ヶ月でこれだけのことをやってのけたのです。
「鉄拳8というゲームを最速で攻略した」と言いかえても良いでしょう。
EvoJapan2024の優勝が、見事にそれを表しています。
「勝つために必要なものだけをピックし、愚直なまでにやり込む」
必要のないものは容赦なく切り捨て、頓着しない。
勝つために必要なものをピックしたら、ひたすらにやり込んで研ぎ澄ます。
すべての思考、行動が「勝ち」の一点に向けられています。
まさに「努力のラストサムライ」です。
今更ですが、EvoJapan2024優勝おめでとうございます!!