鉄拳7が、まだアーケード(ゲーセン)で稼働していた頃、
「ギガース」という新キャラが追加されました。
格闘スタイルは「破壊衝動」です。
(その性能で一体なにを破壊する気なんだ…?)と思えるくらいに弱かったのですが、それはまた別のお話です。
当時、たしかファミ通だったと思いますが、鉄拳のプロデューサーである原田氏のインタビューが掲載されていました。
ギガースのコンセプトは、「ガードに対するアンチテーゼ」のようなことを語っていました。
格闘ゲームは後ろにレバーを入れているだけでリスク無く攻撃を防ぐことができる。
システム的にガードが強すぎるから、そこにメスを入れたい。
このようなことを語っていました。
(だったらもっと使える性能にしろよ…!)と思ったのは内緒です。
しかし、鉄拳はガードを含め守りが強いゲームですから、目の付け所としては正しいと思います。
実際に、ギガースはガードブレイク属性の技が搭載されています。
これまでの鉄拳に無い、新鮮な読み合いを展開できるキャラでした。
ギガースの登場から数年が経ち、
「ファーカムラム」という新キャラが登場しました。
(キミ、PVと対戦画面で身長が変わってない…?)と思ったのはまた別のお話です。
リーチが長く、豊富な連携で相手を固める攻撃的なキャラです。
カムラムもまたガードブレイク属性の技を持っています。
ギガースのガードブレイクはポンコツでしたが、カムラムのガードブレイクは強力でした。
とくに壁際のプレッシャーは半端ではありません。
(ギガースでやりたかったのはこういうことなのかな…?)と思った記憶があります。
鉄拳7の最後のDLCキャラとして「リディア」というキャラが追加されました。
個人的に鉄拳7の新キャラで一番好きです。
見た目や格闘スタイルなど、本当に格好良いキャラだと思います。
ぜひ鉄拳8でも出して欲しいキャラです。
リディアは攻守ともにバランスの良いキャラですが、とくに突進技が優秀で、相手に対して切り込んでいく技が豊富です。
そしてガードブレイク属性の技も持っています。
鉄拳8で言えば、麗奈に近いもの(66RPがとくに)があります。
突進技で切り込み、読み合いを迫るのが強いキャラです。
下がる相手に差し込める技が多く、気持ち良く攻められる性能をしています。
おそらく、鉄拳7を運営していくなかで、開発者の方も気付いたんだと思います。
「鉄拳7は守りが強すぎる」ことに。
実際に、鉄拳が上手いプレイヤーは守りに比重を置いて戦います。
山ステと呼ばれるバックステップを駆使して、開幕から下がりまくります。
積極的に前に出ず、様子見が主体の戦い方をします。
あまり見栄えの良いものではありません。
攻めの比重を上げるべきなんじゃないか?
積極的に動いた側にリターンを与えるべきなんじゃないか?
崩しをもっと強力にするべきなんじゃないか?
そのような調整をしていったように思えます。
そして、いよいよ、その極みのようなキャラが登場しました。
みんな大好き「州光」(クニミツ」です。
機動力が高く、攻守ともに優秀な技が揃っています。
とくに「刹那駆け」(6LK)というステップが攻めにおいては強力です。
中距離から高速で接近して強力な二択を迫ることができます。
この刹那駆けですが、鉄拳8のヒートに近いものがあります。
強制的に密着で読み合いを仕掛けることができるのです。
二択の効率も良く、受ける側はかなりのプレッシャーがあります。
鉄拳7屈指の荒らし技です。
おまけに飛び道具も持っているので、下がる相手によりリスクを負わせることができます。
州光のようなキャラを登場させたのは必然だと考えています。
守りが強すぎるゲームにおいて、州光くらい強烈な荒らし技を持っていないと、積極的に動きません。
鉄拳は昔から守りが強いゲームです。
それが長年続いてきました。
プレイヤーも守備的な思考の方が多いと思います。
強力な攻めや、一方的な二択に対して、「下らない荒らしプレイ」と一蹴する傾向があります(実際に州光を嫌っているプレイヤーは多かった)。
ただ、守りが強すぎたのも事実なんですよね。
ゲームとして渋すぎるんですよ。
ずっと下がって様子見するゲームが健全だとも思えません。
だからこそ、鉄拳7では実験をしていたのだと思います。
これまでに無いタイプの性能を持ったキャラを段階的に出して、様子見していたのではないでしょうか。
ゲージを持った2Dキャラもその一環なのかもしれません。
最新作である鉄拳8のコンセプトは「アグレッシブ」です。
ちまちまやっているのが馬鹿らしくなるほど、アグレッシブなゲームになっています。
いま振り返れば、鉄拳7のうちからアグレッシブの種は蒔かれていたと思うのです。
そして、ボクは鉄拳8のアグレッシブを全力で推したいと思います。
良い方向へ調整していると確信しています。