鉄拳8の「横移動」について思うところを語ります。
横移動は鉄拳シリーズにおける最重要テクニックの一つです。
防御の要です。
鉄拳が上手いプレイヤーは横移動の研究を詰めています。
そして、例に漏れず「鉄拳8も横移動が強いゲーム」になっています。
鉄拳8発売当初から横移動は強かったのですが、それと同時に横移動を潰す技も強かったのです。
横移動で避けられないから受けるしかない。
結果的に、そのゲームバランスが大不評で横移動に引っかかる技は弱体化されました。
分かりやすいところで言えば、「ヒートバースト」と「ヒートスマッシュ」です。
ヒートバーストもヒートスマッシュも、発売当初は横移動で避けることが出来ませんでした。
かつての防御技術(横移動で避けてスカ確を入れるなど)が活かせないことで、プレイヤーからは大不評でしたね。
現在はアップデートによって避けられるように調整されました↓
「投げ」も同様です。
かつては投げがホーミング属性で横移動で避けられませんでした。
現在は、通常投げがホーミング、コマンド投げが横移動で避けられるように調整されました。
この調整はなかなか面白いと思います。
今作は本当に投げが強くなりました。
通常投げにホーミング属性を残したのは英断だと思います。
横移動が多い相手には通常投げを仕込みまくると良いです。
「通常投げなんて抜けられるでしょ!?」と思うかもしれませんが、破壊神クラスの人でも通ります。
横移動に対するアンサーを見せるのが重要なのです。
相手は投げ抜けを意識して脳内リソースを割くことになります。
おまけに、パワクラ、ヒートバーストを潰すことだって出来ます。
ボクは前作の5倍くらいは投げを使っています。
鉄拳の投げモーションは本当に格好良いですから、投げを見る機会が増えるのは良いことでもあると思うのです。
コマンド投げが横に弱くなったとは言え、プロレスラーのキングは一部のコマンド投げが横移動に刺さるのも個性的で良調整だと思います(受け手は不快かもしれないが、プロレスラーがプロレス殺法できるのは支持したい)。
もう一つ、横移動に対する分かりやすいアンサーが、ホーミング属性の技です。
白い軌跡みたいなエフェクトが残る技がホーミング属性の技です。
ホーミングは横移動で避けることが出来ません。
※余談ですが、ポールは宇宙一の格闘家なのでホーミングすら避けられます。
まぁ、これは見なかったことにしましょう。
現在の鉄拳8はアグレッシブでありながら、防御技術も活かせる程よいくらいのバランスになっていると思います。
ちゃんと横移動が強いです。
横移動が機能することになって良いゲームになったと思います。
ただ、この流れで調整することに対する懸念もあるのです。
「横移動が強くなる」と、どういうことが起こるのか?
↓の動画を見てください。
アズセナが1LKで有利(+4F)を取って、さらに背向けから攻撃を仕掛ける場面ですす。
すべて横移動でスカ確が取られてしまいます。
せっかくアズセナが攻める番なのに、攻める意味が無くなるどころか、リスクばかり背負う形になっています。
つまり、横移動が強くなるというのは、ディフェンシブなゲームになるということです。
横移動は防御テクニックです。
横移動で相手の攻撃を避けられるということは、相手の攻撃を待つ行動が強くなります。
自分から手を出すよりも、相手の攻撃を避けて反撃した方が楽なのです。
結果的に待ちゲーになります。
その極みのようなゲームが鉄拳7です。
現在の調整の流れを加速させるのなら、行き着く先は鉄拳7になります。
◯◯のキャラは左横移動が安定。
◯◯の構えは右横移動が安定、それさえやっとけばヤバい技は当たらない。
「技が当たらない」から読み合いが回らない。
鉄拳プレイヤーは必ず経験していると思います。
鉄拳8でも、お互いに待ち合う場面が増えました。
もう少し突っ込んだことを言うなら、現在弱いとされているキャラは相手の横移動に対するアンサーも弱いです(ホーミング技が遅すぎて結局上手いプレイヤーは横移動ガードが間に合ってしまうなど)。
「横移動が安定」、このような場面が多過ぎるのは良いことではないです。
かつてのヒートバーストやヒートスマッシュが横移動で避けられない仕様は、理不尽極まりないのは事実ですが、新規さんや初心者さんにとっては素晴らしい調整だと思います。
困ったらヒートバーストで切り返せる、ヒートスマッシュを押し付けられる。
おそらく現在の調整の方が格闘ゲームとして見れば正しいのですが、初心者泣かせになったのも事実です。
ヒートバーストとヒートスマッシュの使い方も、それなりに気を使うようになりました。
結局は現在くらいのバランスが丁度良いのかな?と思います。
これ以上ディフェンシブな方向に調整したら、本当に鉄拳7になります。
横移動の調整は本当に難しいと思います。
プレイヤーの技術を活かせる見せ場でもあるし、膠着状態が続いて試合が動かなくなる要因にもなります。
個人的な好みを言えば、横移動が強すぎるのは良いことではないと思います。