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CUBEとSAWとH・R・ギーガー「TUBE チューブ 死の脱出」感想、レビュー

 

1.「TUBE チューブ 死の脱出」ってどんな映画?

謎のチューブに閉じ込められた主人公が、死のトラップを掻い潜り脱出を図ろうとする作品です。

シチュエーションスリラー映画です。

ゴア表現(グロ)もエグいです。

閉所恐怖症の方は本当に辛いと思いますので、注意した方が良いです。

 

2.どんな人におススメ?

・スリリングな映画が見たい方

・SFチックな作品が見たい方

 

3.珠音真珠の感想

名作映画である「CUBE」をベースに、「SAW」「H・R・ギーガー」(エイリアンをデザインした有名なデザイナー)で味付けしたような作品です。

謎の空間に閉じ込められて、脱出を図ろうとする流れは「CUBE」っぽいです。

ケレン味あふれる殺人トラップは「SAW」っぽいです。

謎の機械生物であったり、まるで化け物の胎内にいるような場面は「HRギーガー」っぽいです。

(そんなの絶対に面白いじゃん!)と映画好きの方は思うかもしれません。

実際は、見てる間はそこそこ面白いのですが…見終わってみると微妙なんですよね…

 

 

娘を亡くし自暴自棄になっていた主人公が、見知らぬ男の車に乗り込むところから物語は始まります。

出会った男が実は殺人鬼であることに気付きますが、時すでに遅し。

目を覚ますと、謎の閉鎖空間に閉じ込められてしまいます。

そこは凶悪な殺人トラップが無数に仕掛けられたチューブ状の迷路だったのです。

 

チューブと聞けば、何だか柔らかいゴム状のものを想像するかもしれませんが、本作のチューブは「ダクト」と言い換えた方がイメージしやすいと思います。

スパイ映画の主人公が屋内に侵入するときによく使うアレです。

閉所を這う場面がずっと続くので、閉所恐怖症の方は見るのを止めた方が良いかもしれません。

(えぇ?本当にここを行くの?狭すぎて無理でしょ?!)みたいな場面ばかりです。

この辺りの演出は本当に上手くて、見ているこっちまで息がつまります。

 

途中まではスリリングで凄く面白いのです。

最初は傑作だと思いました。

殺人鬼の車に乗り合わせてしまう導入部であったり、凶悪な殺人トラップに傷付いていく様子は生々しいのですが、物語が進むに連れてどんどん抽象的になっていきます。

恐らく、「これまでの人生を捨てて生まれ変わる、喪失と再生」のようなものを描きたかったのだと思います。

それは良いのですが、(そこはさすがに説明責任があるだろ!)という部分も完全に投げっぱなしているのはいただけません。

 

結局チューブって何?

殺人トラップは何だったの?

なぜ主人公が閉じ込められることになったの?

などなど。

疑問は何ひとつ明かされません。

 

考察の余地がある。

崇高なメッセージ性。

アーティスティックな表現。

これらを盾に、説明から逃げすぎです。

 

主人公の体験したものが、「主人公の内面を描写しただけのもの、生まれ変わりの試練」などと解釈することも出来ます。

そこに具体的な設定などなく、説明を求めるのも野暮かもしれません。

しかし、それを許容するのなら、あまりに何でも有り過ぎて創作物として不誠実だと思います。











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