昔々のことです。
とあるカポエラ使いの外国人が日本のゲームセンターにやってきました。
何やら見たこともない動きを繰り返しています。
それを見た日本人プレイヤーは思わず声を掛けました。
「おいおい、その奇妙な動きは何だい?」
カポエラ使いは答えました。
「Yummer Steral」
「やんますてら?」
カポエラ使いはニコリと微笑むと、レバーを操作する自身の手元を見せてくれました。
それは日本では誰も見たことのないコマンド入力でした。
(これは凄い技術だ…これを取り入れれば日本の鉄拳レベルが飛躍的に上がるだろう…!)
その技術は「山ステ」(やますて)と名付けられ、今日に至ることとなるのです。
というのは全部冗談です。
◆「山ステ」ってそもそも何なの?
「高速で下がる技術」です。
◆下がってどうすんの?
相手の攻撃をかわしたり、攻撃の隙に技をさしかえします。
◆どうやってやるの?
コマンドは「4N414N414N414N414N4…」です。
◆はぁ?何言ってるか分からんのだが?覚えなきゃ駄目なの?
鉄拳をプレイするにおいて「必ずしも覚える必要はありません」。
山ステが必須テクとか言っている人は「車に乗るならドリフトは出来なきゃ駄目だよ」と言っているようなものです。
必要に駆られた人が覚えれば良いのです。
山ステが出来ないトッププレイヤーも普通にいます。
◆山ステについてもうちょい詳しく
難しく考える必要はありません。
複雑なコマンド入力とか全部忘れましょう。
鉄拳はバックステップに硬直があるのです。
バックステップの硬直を「しゃがみ」でキャンセルして、高速で下がる技術が山ステです。
バックステップだけで下がる。
山ステを使って下がる。
交互に行っているので、違いを確認してみて下さい。
カクカクとダッキングするような動きは、バックステップしながら、しゃがみを入れているからです。
バックステップの硬直を、しゃがみでキャンセルしているのが何となく分かると思います。
ゆっくり焦らなく良いので実際に入力してみて下さい。
1.まず「1」を入力してしゃがんで下さい。
2.そのままレバーから手を離さずに「4」に入れます。
3.一旦レバーから手を離してニュートラル状態にし、素早くまた「4」に入れます。
これの繰り返しです。
ちょうどこのような動きが出来ればOKです。
これを高速で行うだけです。
ちなみにパッドでも出来ます。
上の動画はPS4のパッドでプレイしています。
この動作を初手をバックステップ(4N4)にして行えば完璧です。
山ステの完成です。
1.「4N4」(バックステップ)
2.「1」(バクステ後にそのまましゃがむ)
3.「4」(立ちに戻す、バックステップの入力一回目)
4.「N」(レバーから手を離してニュートラル)
5.「4」(バックステップの入力完成、バックステップ成立)
以下、2~5の繰り返し。
「4N414N414N414N414N4…」
◆難しすぎんか?ふざけんな!
かなり難しいです。
長年鉄拳をプレイしている人でも出来ない人がいます。
しかも、鉄拳をプレイする上で必須テクではありません。
鉄拳8では山ステが弱体化され、バックダッシュだけでもそれなりに下がれるようになりました。
◆じゃあ山ステを覚える価値ってあるの?
苦労してでも覚える価値はあると言えます。
高速で下がり、安全圏へと逃れることによって、相手の攻めをしのぎやすくなります。
一方的な二択や、強引な荒らしプレイを受ける機会が減るので、結果的に試合が安定するようになります。
しかし、何度も言うように、山ステは必須テクではありません。
出来た方が有利にゲームを遊べますが、必ずしも必要ではありません。
◆最後に本音
ぶっちゃけ山ステなんて無くして良いんじゃね?
と本音では思っています。
昔から山ステの話題は荒れがちで、
「それは山ステじゃない、本当の山ステは~」とか、
「カサカサと動きがキモい」とか、
「初心者参入の障壁になっている」とか、
「パッドプレイヤーのことを考えていない」とか、
あんまり良い話を聞かないんですよね。
バックステップの硬直をしゃがみでキャンセルするとか、、
そもそもがシステムの穴を突いた裏技みたいなものなんです。
スト4の辻式みたいなもの(分からない人はごめんなさい)で、本来であれば一部のプレイヤーが使うようなマニアックな技術なんですよ。
それが鉄拳ではシリーズ通しての伝統テクニックになっていて、いつの間にか必須テクみたいな扱いになっています。
何度も言うように、必須テクではありません。
難しい技術なので、無理に取り入れる必要は無いです。
古参の一人として、せっかく苦労して身に付けた技術が無くなるのは少し寂しいですが、
やっぱりボクは山ステは要らない派です。
気が早いですが、次作では無くして良いんじゃないでしょうか。
おまけ
今ではすっかり見かけなくなった「野ステ」(のすて)。
バックダッシュの硬直を「横移動」でキャンセルしながら下がる技術です。
すっかり見かけなくなりました。
鉄拳6かTAG2くらいの頃は、山ステ派と野ステ派がいたような記憶があります。