夜な夜なバーへ繰り出す主人公。
お持ち帰りしようと近づいて来た男たちへ制裁を加える日々を送る。
その目的とは…?
・復讐譚が好きな方
・遊んでいる方
・ハラスメント問題に関心のある方
主人公が恐ろしく魅力的な作品です。
それは綺麗だとか、女性として魅力的という意味ではありません。
親友が性的被害に遭い、その復讐を遂げようとする。
これが大筋のストーリーです。
主人公は直接的な被害者ではありません。
しかし、主人公は親友のため復讐に取り憑かれ、夜な夜な街へ繰り出します。
ここが面白いところで、直接的な被害がなくとも、その周りの人間は何らかの影響を受けることを意味します。
ボクやあなたも一緒です。
「ところで、あなたは当事者じゃないけれど、何もしないの?」と。
主人公のビジュアルが凄く良いですね。
歪なんですよ。
幼くも見えるし、老けても見えるんです。
復讐に取り憑かれ、時が止まってしまったんだと思います。
自分の人生はこのように生きるしかない。
ずっと復讐のためだけに存在し続ける。
前を向いて、より良い方向へ人生を進めなければならないのに、ずっと同じところで復讐を繰り返している。
主人公はプライベートのときには、少女趣味的な服装をしているのもあって、精神的にはずっと、あの頃のままなんだと思います。
主人公は頭が切れます。
復讐するときは、相手の心を攻めるのです。
つまり、相手に後悔の念を植え付けるのです。
ボクは男として、本作を鑑賞しながら、とても居心地が悪かったです。
やはりそれは、多少なりとも自分にも思い当たるところがあるからでしょう。
たとえば、クズ男たちの性器をちょん切るような復讐劇(つまり暴力に頼った)を見せられても、気持ちの良いエンタメとして消化されるだけです。
しかし、本作は気持ち良くさせてくれません。
見る者の心も攻められるのです。
本作では、一度だけ主人公が復讐から足を洗おうとする展開があります。
いつまでも過去に囚われ、復讐に取り憑かれた主人公ですが、迷うのです。
それは当たり前です。
頭の良い主人公ですから、自分のしていることの愚かさにも気付いているはずです。
過去に執着し、傍から見ればクレイジーな主人公ですが、ちゃんと人間なんですよ。
人間臭いんです。
だから魅力的なんです。
最後に、
本作はこれでもかと、デリカシーの無いクズ男ばかり出て来ます。
その描き方は、少しフェアではないんじゃないか?(つまり、さすがに世の中はこんな男ばかりじゃない)と途中まで思っていましたが、
良心を持った男も出てくるし、クズ女も出てくるし、何より主人公が復讐の代償をしっかり支払い続ける姿を見て、謎の納得感が得られました。
フェアです。
鑑賞後にも、きっとあなたのなかで主人公の残した猛毒が蝕み続けることでしょう。