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鳥肌が立った、ボクの性感帯を刺激しっぱなしの大傑作、2022年のベスト候補「ナイトメア・アリー」感想 レビュー

目次

1.「ナイトメア・アリー」ってどんな映画?

2.どんな人におススメ?

3.珠音真珠の感想

※楽しみを奪わない程度にネタバレを含む記事です。

 

1.「ナイトメア・アリー」ってどんな映画?

「見世物小屋で読心術を身に付けた男が成功を目指す物語」です。

ショービジネスの光と影、そしてさまざまな人物との駆け引きや心理戦が見どころとなっています。

監督は「パンズラビリンス」、「ヘルボーイ」、「パシフィックリム」、「シェイプオブウォーター」などの作品で有名な「ギレルモ・デル・トロ」です。

デルトロ監督にしては珍しく、ファンタジー色が抑えられており、とてもリアルで残酷な作品となっています。

 

2.どんな人におススメ?

・心理戦や駆け引きが好きな方

・詐欺師が成り上がるような作品が見たい方

・ショービジネスに興味のある方

・見世物小屋などの単語にフェチズムを感じる方

 

3.珠音真珠の感想

デルトロ監督が好きです。

とくにボクが好きなのは「ミミック」、「ブレイド2」、「パンズラビリンス」です。

おこがましいことを言いますが、デルトロ監督とはオタク的な感性で何となく繋がりを感じることが多いのです。

勝手なことを言って申し訳ないですが、なんとなく似たような性癖を持っているような気がします。

 

さて、今回の「ナイトメア・アリー」ですが大傑作です。

今年のベスト候補です。

劇場で鳥肌が立ちっぱなしでした。

素晴らしい作品です。

 

デルトロ監督と言えばファンタジー色が強い監督ですが、今回はファンタジーではなくノワールに振り切っています。

ただ、それでもデルトロ監督らしい作品なんですよ。

小道具や絵作りがファンタジーや童話的であり、それが見事に本作とマッチしています。

生々しいのですが、どこかすべてが作り物っぽいんですね。

メタ的視点から言えば、それが本作のテーマとも合致していると言えます。

 

本作は訳アリの主人公が「見世物小屋」に転がり込むところから始まります。

見世物小屋…ボクは見たことがありませんが、凄くワクワクしますよね。

現代では見ることは叶いませんが、もし見る機会があったなら迷わず見に行くでしょう。

もともと、江戸川乱歩などの世界観が大好きなので、もうこの時点でボクはぶち上がっちゃうんですよ。

根源的な欲求です。

(凄いものが見たい)、(普段見られないものが見られるかもしれない)、(見てはいけないものを見られる背徳感)、もうゾクゾクしっぱなしです。

大スクリーンで見世物小屋が見られる、たまりません。

そんなこともあって、本作はボクのフェチズムが最初から刺激されっぱなしなのです。

 

癖のある人物による心理戦や駆け引きによるスリルもたまりません。

下手なホラーよりよっぽど怖いです。

 

主人公は読心術を活かしてショービジネスで成り上がろうとするのですが、まぁ結局は詐欺でありトリックがあるわけです。

本作の時代背景は戦時下であり、まだ科学よりもオカルトやスピリチュアルが信仰されていた時代です。

現代人の感覚で見れば、喜劇であり悲劇を予感させるに十分な舞台設定です。

 

「心霊ショー」、「交霊術」、科学が幅を利かせる現代に生きている側からすれば滑稽かもしれません。

しかし、少し考えてみてください。

現代でも、「メンタリスト」、「メンタリズム」、「スピリチュアル」、「占い」、そんなトリックと心理学を駆使したショービジネスを行っている人物が無数にいるではありませんか?

彼(彼女)らにどれほどのフォロワーがいて、どれだけお金を儲けているでしょう?

実は現代でもショービジネスの本質、いえ、詐欺(誉め言葉ですよ)の本質は変わらないのかもしれません。

 

しかし、もちろん騙される人間ばかりではありませんよね。

どんなものにも懐疑的な人間は必ずいるものです。

タネや仕掛けを暴こうとする人間がいます。

 

本作では心理学の先生やら嘘発見器を用いる大富豪が登場します。

主人公のインチキを暴こうという流れが展開されるのです。

もう最高です、こういうの大好きです。

ボクはオカルトやらUMAやら大好きですが、大好きだからこそ、真摯に検証したいタイプです。

空気を読まず、秘密を暴こうとズカズカと踏み込んでいく、その感覚。

秘密を知られまいと必死で守ろうとする駆け引き。

たまんないですよね、本作はボクの性感帯を知り尽くしています。

ボクが気持ち良くなれるところを全部刺激されるんですよ。

 

そして、最後に訪れる悪夢。

鳥肌が止まりませんでした。

最高のエンディングだと思います。

完璧です。

 

美しく、残酷で、生々しい悪夢、ぜひ体感してください。

今年(2022)のベスト候補です。

これを越えられる作品は出ないかもしれません。

だって、あまりにボクの性感帯を刺激しっぱなしですから。

これを劇場で体験できたのは、ボクの人生の素晴らしい出来事の一つです。

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