サム・ライ味マシマシの快作「HELP/復讐島」感想、レビュー

パワハラ社長と一緒に無人島に漂流した主人公。
権力も財産も通用しない環境で、二人の立場は逆転する。
・ブラックコメディが好きな方
・肩の力を抜いて観られる作品を探している方
・サム・ライミ監督が大好きな方
オタク向けの映画だと思いました。
眉間にシワを寄せながら、腕組みして観るような作品ではありません。
思いっ切りエンタメしている、”笑える作品”です。
もっと言えば、”サム・ライミ監督を堪能する作品”です。
おまえ、本当にゲロとか粘液とか大好きだよな…!!!
映画オタクであれば、言いたいことが分かるでしょう。
(なるほど、サム・ライミだわ)なんてニヤニヤするでしょう。
そんなサム・ライミ監督に対するリテラシーのある方は、幸福な映画体験を約束できます。
逆に言えば、生真面目に鑑賞する方は合わないかもしれませんね。
パワハラクソ社長と主人公が無人島に漂流するお話です。
ちなみに、宣伝で言われているほど、パワハラクソ社長ではないです。
いけ好かない人間ではありますが、そこまでの人格破綻者というわけではありません。
むしろ、主人公の方がよっぽど”ヤバいヤツ”です。
自分は、人間が虐げられている様子を見るのが苦手です。
創作物とはいえ、パワハラされている映像を見せられるのは良い気がしません。
(ガチの”胸糞”だったら嫌だな)
そう思いながら劇場へ向かいましたが、まったくの杞憂でした。
そういう部分が気になる方は安心して良いと思います。
映画としては、ケレン味たっぷりのサム・ライミ節が炸裂しています。
パワハラクソ社長のフィアンセが指輪を見せるシーンでは”キラーン”という効果音がわざとらしく鳴ります(アニメかよ)。
この時点で笑いを堪えきれませんでした。
無人島では、食料として”イノシシ”を狩るシーンがあります。
(イノシシってこんなんだっけ??)
まるでバイオハザードにでも登場するような凶暴なイノシシです。
ヤバいウイルスか何かを投与されたような、尋常ではない容姿と暴れっぷりに笑いが止まりません。
飛び散る体液、ゲロ
サム・ライミ監督のお家芸です。
サム・ライミ監督で凄いと思うのが、トラウマに残るほどにグロテスクに見せないことです。
ゲロを顔面にぶちまけられる
古い作品ですが、同監督の”スペル”という映画でもそんなシーンがありました。
しかし、食欲が失せるほどに気持ち悪くはならないのです。
このバランス感覚が本当に絶妙です。
まさに職人芸ですね。
ちょっとだけ不満点を挙げると、映画の尺が長いです。
本作の上映時間は113分です。
特別に長いわけでもないのですが、90分くらいに抑えた方が収まりが良かったと思います。
というのも、無人島ではさまざまなイベントが起こるのですが、結局は同じところに着地する展開が続くからです。
(分かったから、そろそろどこに着地するのか見せてくれよ)なんて鑑賞中に思ってしまったのも事実です。
最後に、”俳優って本当に凄い”と思いました。
会社勤めの主人公。
無人島に漂流してからの主人公。
オチの主人公。
同一人物なのに、受ける印象がまったく異なります。
もちろん、撮影による見せ方やメイクなどもあるのでしょうが、ここまで違う印象を残せるのは、俳優の演技力に他ならないでしょう。
やっぱ映画って最高だな。
そして、サム・ライミ監督。
おまえ、本当に小学生みたいな感性してるよな
ニヤニヤが止まらない幸せな映画体験でした。


