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北欧の暗黒童話を舐めてはいけない「Bramble: The Mountain King」感想、レビュー

 

1.「ブランブル・ザ・マウンテンキング」ってどんなゲーム?

北欧の伝承や寓話を元ネタにしたホラーアドベンチャーゲームです。

さらわれた姉を取り戻すために、主人公の少年はブランブルという不思議な土地を探索することとなります。

ゲーム的には、ちょっとした謎解き+アスレチックという感じです。

ボス戦などもありますが、ガチガチの戦闘というよりも、ギミックボスという側面が強いです。

主人公は少年ですが、子どもでも容赦のない残虐な描写があるので、苦手な方は注意をした方が良いかもしれません。

 

2.どんな人におススメ?

・サクッと遊べるゲームを探している方

自分は初見で大体4時間くらいでクリアしました

・暗黒童話のような雰囲気を持った作品をプレイしたい方

・程よいアクションと謎解きを楽しみたい方

 

3.良かったところ

・グラフィックが美しい

・主人公は何を受けても即死だが、リトライが早く快適

・程よい緊張感を保った適切なアクションの難易度

・謎解きに理不尽さは無い

・怪異(怪物)のバックボーンがちゃんとテキストで語られる

・北欧の文化を知らなくとも楽しめる

・ストーリーの流れが秀逸

 

4.ちょっと気になったところ

・初見では何を求められているのか分からない場面が多く、いちいち躓きがち

 

5.今からプレイする方へ

・あらゆる場面で無理はしないこと

これくらいならイケるっしょ、くらいの感覚でプレイすると大体は失敗します。

・一度失敗したのなら、そのやり方は間違っていると思った方が良い

実はあまり自由度の無いゲームです。

制作者の想定した通りのプレイが求められます。

”右”から行っても”左”から行ってもクリアできる、という作りではなく、この場面では右から行かなければならない、という作りになっていることが多いです。

 

6.珠音真珠の感想

ホラーアドベンチャーゲームのなかでも、傑作に数えられるくらいに素晴らしい作品です。

面白い、というのはもちろんですが、”良く出来ている”と思わされる場面が多かったです。

 

まず、ストーリーの見せ方が秀逸です。

突如、いなくなってしまった姉を探すために、主人公の少年が寝室を抜け出すところから物語が始まります。

姉を探して、あちこちを冒険し、最終的に見つけ出すことになるかと思いきや、実は姉とはすぐに再開することになります。

この展開には驚きました。

(え??姉いるじゃん!)

そのまま、姉と一緒に冒険することになります。

姉と一緒のパートでは、不思議で牧歌的な世界を冒険します。

ここまでは、優しいファンタジーのような印象です。

 

しかし、姉は謎の化物にさらわれることとなります。

ここからがゲームの本番で、蛆虫がたかる臓物が積み上げられたエリアが出てきたり、主人公も血みどろのダークな物語が展開されることとなります。

 

この展開は素晴らしいです。

「姉と一緒に冒険する」、このパートを序盤に体験することによって、姉に対する思い入れが何段階も上がります。

変なたとえですが、FF7のセフィロスのように、一緒に冒険するパートがあるからこそ、キャラクターの魅力が何倍にも増すのです。

ピーチ姫のように、ただ助けるだけのアイコン、設定上のアイコンとはなっていないのは、キャラクターの扱い方として完璧です。

また、優しい印象のファンタジーから、一気にダークファンタジーにシフトする緩急もお見事です。

 

せっかくなので、序盤と、姉がさらわれてからのスクショを3枚づつ貼ります。

その変化をスクショから感じ取ってみてください。

 

■序盤

■姉がさらわれてから~

正直に言うと、プレイするまでは本作を舐めていました。

少年少女が物語の主役であることから、それほどシリアスで残酷な展開にはならないであろうと(コンプラ的にソフトなものにならざるをえないと予想していた)。

その予想は大きく裏切られました。

北欧の暗黒童話を舐めてはいけません。

これは本当に嬉しい誤算でしたね。

 

ゲームの部分に話をシフトすると、初見殺しが豊富な死にゲーでありながら、チェックポイントが細かく設定されているので、リスタートはまったく苦痛になりません。

ボス戦は、敵の攻撃を避け、光の玉をぶつけるのが基本なのですが、良い意味でこちらのエイミングはガバガバです。

大雑把な狙いでも、ちゃんと当たってくれます。

全体的にそれほどシビアな操作は求められません。

謎解きも、個人的には理不尽だと思える箇所はありませんでした。

ちょっと考えれば分かる程度の難易度に抑えられていると思います。

 

北欧の文化に関する知識が無くとも、本作を楽しめるのも素晴らしい部分です。

ゲームを進めていけば、どんな物語なのかちゃんと分かるように作られています。

出てくる怪物のバックボーンも書物で読むことができます。

ただし、すべてを語るわけではなく、考察の余地も残してくれています。

ここら辺のバランス感覚もお見事です。

 

傑作に数えられる一本だと思います。

良く出来ているし、面白いです。








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