今から10年以上前、とある東北のド田舎の冬のことです。
「今度ケイボンがクラブに来るらしいよ」
え?こんなド田舎にケイボンが来るの…?
行かないわけには行きません。
ボクは仲間とクラブに行きました。
ケイボン(K-BOMB)とは、日本のHIPHOP好きであれば知っている方も多いと思います。
古くからシーンで活躍する怪ラッパーです。
ボクはケイボンの大ファンです。
当時ボクが住んでいた、東北のド田舎にケイボンが来るということで、クラブにライブを見に行ったのです。
地元ラッパーやDJのパフォーマンスが行われ、ケイボンのクルー(Think Tank)のメンバーであるBABAのユニット「DOOMBOYS」のパフォーマンスも行われました。
ボクは「DOOMBOYS」のファンでもあり、CDも持っていたほどです。
クラブの大音量で生で聞く、「BLACK DALI」にはヤられましたね。
BABAのパフォーマンスが良いのはもちろん、MUROCHINのドラムパフォーマンスも本当に素晴らしかったです。
パフォーマンスが終わったあとに、歓声を上げるボクたちオーディエンスに対して、笑顔でMUROCHINが両手でサムズアップをしてくれたのをいまでも覚えています。
ここからケイボンの出番です。
実は、DOOMBOYSのパフォーマンスの最中に、ノソノソとケイボンがステージに現れ機材のチェックをしていました。
人のパフォーマンス中に、勝手にステージに上がって機材チェックをするのも凄いですよね。
それに構わず、パフォーマンスを続けるDOOMBOYSもケイボンの行為に慣れているのでしょうね。
ケイボンの出で立ちですが、セサミストリートとコラボしたニューエラを被り、上は黒い半袖のTシャツ、下はグレーのスウェットでした。
下半身のグレーのスウェットを、腰どころかパンツが完全に見えるほどずり下げていたのが印象的です。
深夜のドン・キホーテの駐車場で酔っ払ってたむろするヤンキーのような出で立ちでした。
そして、かなり身長が高いです。
身体の線は細いのですが、身長は180センチくらいあるのではないでしょうか。
出で立ちもILLそのものでした。
正直に言いましょう。
ボクはケイボンのパフォーマンスに対して、期待と不安が入り混じった状態でクラブに足を運びました。
ちゃんとまともなパフォーマンスをしてくれるのか?と。
わけのわからない音を垂れ流し、わけのわからないシャウトをして帰ってしまうのではないかと(それはそれで彼らしくもある)。
その不安は良い意味で裏切られました。
ステージに立ったケイボンは、初っ端から日本のHIPHOPのクラシックと呼んでも過言ではない「GOD BIRD」を披露したのです。
完全にぶっ飛ばされました。
クラブは大盛り上がりです。
そのあとも「GuruConnect」の「ParisDarkarRace」を熱唱したりと、あっという間に20分ほどのケイボンのパフォーマンスは終わりました。
季節は冬、しかも東北です。
にもかかわらず、ケイボンは半袖姿で全身にびっしょりと汗をかいていました。
「ピース!」とシャウトして、パフォーマンスを終えたその姿は、全力のパフォーマンスを見せた者の美しささえ感じられました。
本気で見に来て良かった。
凄いものを見た。
興奮冷めやらぬまま、クラブを後にしました。
ボクにとって、その日のケイボンのパフォーマンスを見られたことは生涯に渡る自慢話となります。
ケイボンのパフォーマンスは凄かったです、という思い出話でした。
余談ですが、「BlackSmoker」の面々は、その名が示す通りに、”吸う量”も半端ではないらしいです。
もうひとつ余談ですが、昔Mikrisのライブを見たこともあったのですが、ガチで目が真っ赤でした。