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2022年もっとも怖かった映画「MEN 同じ顔の男たち」感想 レビュー

 

1.「MEN 同じ顔の男たち」ってどんな映画?

夫に先立たれた女性が傷心を癒すために田舎の屋敷に引っ越すが、そこで奇妙な住人にストーキングされることとなり…

エログロなホラー映画です。

心にトラウマを抱えた女性が謎の男性からストーキングされる物語です。

ジャンプスケア(ドッキリ)はそれほど多くありませんが、かなり緊張感があって怖い作品です。

身体の断面図や、無修正の性器が写りますので、鑑賞の際にはご注意。

配給は安心と実績のA24です。

個人的には2022年の映画でもっとも怖かった作品です。

※ストーキングや性的な被害にあったことのある方は、本当にトラウマ級の作品なので、見ない方が良いかもしれません。

 

2.どんな人におススメ?

・考察が好きな方

・宗教的な概念に対する知識がある方

・女性の生き方やフェミニズムに関心のある方

 

3.珠音真珠の感想

2022年劇場公開作でもっとも怖かった映画です。

「相手から追いかけられる」

そんな映画ではありふれたシーンが、これほど怖く感じた作品は類を見ません。

 

本作は宗教的な概念が絡んできたり、妄想と現実が入り混じっていたり、考察すればキリが無いほど複雑な設定を持った作品です。

ボクは宗教的な知識も無いですし、この作品の本質を捉えているとは自分でも思いませんが、それでもボクなりに思ったことを素直に書きます。

 

まず、自分が男だと仮定して、想像してください。

あなたは、とあるパーティーに一人でやってきました。

そこでは身長が2mで筋骨隆々のマッチョたちが、隙あらば良い思いが出来ないかと、自分をチラチラと見て様子を伺っています。

そのマッチョたちは、いかにも親切な態度で、ときに面白く、自分をエスコートしてくれます。

しかし、ときおり見せる仕草や言動から下心があるのが見え見えです。

あなたはパーティーでどう振る舞うでしょう?

 

さぁ、どうでしょう?

思わずお尻がムズムズしてきたかもしれません。

 

これはそういう映画です。

男は(当然と言えば当然ですが…)、女性の見ている世界を知りません。

女性として生きる以上、どうしても下心を持って接してくる男性から身を守らなければならないし、恐怖を感じている場面だって多いでしょう。

 

そういったものを、アーティスティックに映画的に視覚化したのが本作です。

 

本作の主人公はとても綺麗な女性です。

自然と男を惹きつけてしまいます。

あれほど綺麗な女性がいたなら、自分だってきっと仲良くなりたいと思うでしょう。

 

主人公と別れてしまった元旦那も、主人公に夢中でした。

それはもう病的なほどに…

 

傷ついた主人公が訪れた新天地での生活も、思うようには行きません。

結局は、下心丸出しの同じような男たちに言い寄られ、上手くコミュニティに属することができません。

 

「MEN 同じ顔の男たち」とは上手いタイトルだと思います。

主人公にとって、男はみな同じということなのでしょう。

 

魅力を放つ人間は、本人が望むと望まざるに関わらず、ずっと他人からの好意を一方的に押し付けられる運命なのかもしれません。

地球上のあらゆる場所に人間がいるように、彼女は何処へ行っても逃げ場などないのです。

ずっとストーキングされる運命なのでしょう。

 

本当に怖いです。これほどの絶望があるでしょうか。

そんな恐ろしい作品が本作なのです。


※余談

ボクは、若いころに同性愛者のおじさんにむりやり身体を迫られた経験があります。

あれは今でも思い出せるほど怖かったです。

相手が酔っぱらっていたのもあって、上手く逃げ出し未遂で済みました。

だから、ボクは相手から迫られる怖さを身を持って知っている人間です。

本作が2022年でもっとも怖かったと書いたのは、個人的なトラウマの経験もあるのです。

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