あの高橋ヨシキさんが監督をつとめたバイオレンス映画です。
感情を抑えられず、暴力によって事件を解決する刑事である主人公。
度重なる不祥事の末に、ついに海外の矯正施設へと入れられてしまう。
それから数年が立ち、久々に日本へ帰って来た主人公が見たものとは…
いまの日本の息苦しさや、それおかしくないか?という部分に対するメッセージ性も強い作品です。
・実際の現場で働いている人間
・いまの社会に息苦しさを感じている人間
・高橋ヨシキさんのファン
率直に言えば「高橋ヨシキ版 世にも奇妙な物語」です。
これでもかと分かりやすく誇張されたディストピア社会へ対して激怒する作品です。
あの高橋ヨシキさんが映画を撮ったとなれば、映画ファンとしては反応せずにはいられません。
いきなり少しネガティブなことを言ってしまいます。
全体を通して、やや退屈な作品でした。
それは、PVを見て(おそらくこんな感じの作品なんだろうな~)というまんまの展開が続くからです。
あまり、自分の予想を超える展開というのはありませんでした。
それでも、最後まで集中して見られたのは、ところどころに挿入される高橋ヨシキさんらしさであったり(つまり過剰なバイオレンス描写)、音楽が素晴らしかったからです。
最後のマウントパンチからの流れは本当に最高で、高橋ヨシキさんらしさが炸裂していましたね。
劇場でぶち上がった瞬間です。
音楽も本当に素晴らしかったと思います。
ゲームの「マザー2」のような、不穏でサイケデリックな音楽が作品に合っています。
これを劇場で大音量で聴けたのは良かったです。
サントラが欲しいですね。
現代の社会的へ対するアンチテーゼだのメッセージ性だの…
お堅いことは他のレビュアーにぶん投げるとして、ボクの琴線にふれた部分について書くと、
主人公の刑事が、まさに現場で動いている人間の行動原理で動いていることです。
主人公は平気で違法行為を犯しますが、問題解決能力は群を抜いています。
ゴチャゴチャうるせぇよ、ぶん殴れば解決だろ?という、誰もが思うけれど行動には移さないことを平然とやってのけます。
そこに痺れたり憧れたりするわけではありませんし、主人公のやっていることは肯定できませんが…
同じく現場で働いている人間としては深く共感できます。
規律や綺麗事(理屈)だけでは現場は回りません。
主人公のような人間がいるからこそ、上手く回っている部分があるのも事実です。
しかし、現実は小ズルく立ち回る署長のような人間が出世し、デカい顔をしています。
そんな奴らにブチ切れる主人公の激怒は、ボクの激怒でもあったりします。
「俺は…お前らを…殺すッ!!」
主人公と同じ台詞を何度心のなかで呟いたか分からないですね。
全体的に粗削りながら、やりたいことを率直にやっている作品だと思いました。
登場人物は主人公サイドと敵サイドしかいないし、中間人物がいません。
何なら被害者と加害者しかいません。
PVを見て、こういうのが見たいと思ったなら期待に応えてくれる作品だと言えます。
逆に言えばそれ以上のモノはないと思います。
最後にひとつだけ最大の不満点を書かせてください。
終盤で、主人公一味が大量の敵を迎え撃つシーンがあります。
大量の敵に対して、主人公が電動ドライバーを片手にトラップを作り始めます。
ボクはこの展開が三度の飯より大好きで、劇場で前のめりになるほどテンションが上がりました。(ランボーラストブラッドなんかはもう最高)
DIY殺法が見られること、いかにも高橋ヨシキさんらしさを感じる展開は最高だったんですが、物足りない…
(え?それだけ…?)と思ってしまいました。
トラップの釣る瓶打ちが見たかったですね。
せめて、あと2種類くらいはトラップが見たかった…
しかし、そのあとのマウントパンチが最高だったので、ちょっとだけ溜飲は下がりました。
今回は池袋にあるシネマロサさんでの鑑賞だったんですが、劇場に飾ってあるポスターにサインがあったので、その画像も貼り付けて終わります。