ゲームで生き残る

脳トレ+QTE、神ゲーになりそこねた作品「Card Shark」感想 レビュー

 

1.「カードシャーク」ってどんなゲーム?

イカサマを駆使しながら、カードゲームでお金や情報を相手から巻き上げるゲームです。

喋ることの出来ない主人公が、イカサマ師にスカウトされるところからストーリーが始まります。

 

カードに関する知識は必要ありません。

求められる操作を時間内に正確に入力するゲームです。

「脳トレ+QTE」といった具合の作品です。

 

2.どんな人におススメ?

・イカサマの手法に興味のある方

・QTEが得意な方

・脳トレなどの頭を使うゲームがプレイしたい方

・難しいゲームがプレイしたい方

・限られた時間内で瞬時に判断を下すのが好きな方

 

3.良かったところ

・さまざまなイカサマの手法を知り、自分が再現できる

・窮地を知恵で乗り切るスリリングな快感がある

 

4.ちょっと気になったところ

・自由度が無い

・お金を稼ぐ意味が無い

・ゲームとしてシビア過ぎる

・覚えたイカサマを振り返ることが出来ない

・何を求められているのか分からない箇所がチラホラある

・日本語の翻訳がやや荒い

 

5.今からプレイする方へアドバイス

・イカサマはしっかり覚えてから本番へ挑むこと

(大体分かった、まぁ何とかなるだろう)くらいの感覚で行くとやられます。

幸いにも何度でも練習できるので、しっかりイカサマの手順を頭に叩き込んでから本番へ向かいましょう。

・ゲームを降りるのは賢者の選択

ゲームを降りるデメリットはありません。

ゲームを降りて引き返すのも良い選択です。

無理して勝負に負ける方が面倒な結果を招きます。

・基本は覚えゲーであり、慣れゲーである

何度かやっていれば、勝手に手順や操作が身に付きます。

ほぼ何も考えずとも作業的にクリアできるようになります。

・多少は運の要素も絡む

欲しいカードがたまたま分かりやすい位置に配られた、など。

多少は運も絡むので、気楽にやりましょう。

・自分なりの解釈でルールを作ればゲームが楽になる

たとえば、手札の数字を記憶しなければならない場面では「絶対に2のカードだけで手札を組む」など。

自分なりにルールを作ればゲームが楽になります。

 

6.珠音真珠の感想

プレイした瞬間は神ゲー

しかし、ゲームを進めるごとに駄目な部分を無視できなくなるような作品です。

まるで手品のタネがバレたかのように熱が冷めてしまう自分がいました。

 

結論から、本作には致命的な3つの欠点があります。

 

1.お金を稼ぐ意味が無い

イカサマを駆使して相手を欺き、お金を巻き上げるのはスリリングで楽しいです。

では、お金を巻き上げることに何の意味があるのかというと…ほぼありません。

お金の使い道が無いのです。

 

100円持ってようが、1万円持ってようが変わりません。

 

お金を使うことによって、新たなイカサマを覚えたり、ゲームを有利に進めるガジェットを購入するなどの要素があっても良かったと思います。

「稼ぐメリットが無い」、その事実に気付いてから、急激にゲームに対するモチベーションが下がりました。

相手からお金を巻き上げるゲームで、お金を巻き上げる意味が無いのはゲーム的に破綻しています。

 

2.自由度が無く、シビア過ぎる窮屈なゲーム性

相手によって使用するイカサマは固定で決まっています。

(一部イカサマを選べる相手も存在しますが…)基本的には、指示されたイカサマを作業的にこなすだけです。

 

さらに、イカサマは完璧にこなすことを求められます。

一手でも間違えれば負けとみなされ、後半になると一手で即死するような事態も起こります。

 

たとえば、ポーカーで「エースを4枚、キングを1枚」配るように指示されたとします。

手違いで、「エースを4枚、クイーンを1枚」送ってしまっても負けになります。

 

与えられた操作を完璧に入力しなければなりません。

「QTEに失敗したらダメージを受ける」のではなく、「QTEに失敗したら即死」くらいの感覚です。

しかも、時間制限もかなりシビアなので悠長に考えている暇はありません。

 

何をするにも段取りくさく、やらされてる感が凄いです。

プレイヤーの試行が入り込む余地が無いんですよ。

「QTEを求められる一本道のサウンドノベルゲーム」と言い換えても良いでしょう。

 

3.覚えたイカサマを再度練習することが出来ない

イカサマの種類は豊富(28種類)で、どんどん複雑化していきます。

1種類のイカサマを覚えるだけでも苦労するのに、次々と新しいイカサマを覚えることを強要されます。

 

過去に覚えたイカサマを改良する、過去に覚えたイカサマに手順を付け加える、過去に覚えたイカサマを組み合わせる、など。

同じようなイカサマでも、ちょっとだけ手順が違うというのが、また覚えづらくさせている部分です。

 

しかし一番の問題は、過去に覚えたイカサマを振り返れないことです。

(これって何だっけ?どうやるんだっけ?)

そう思ってもどうにもなりません。

 

しかも、

「これは前にやったからもう良いだろう」

「あとは言わずとも分かるだろう、自分でやってみろ」

などと言って、イカサマの説明もになって行くのが良くありません。

 

幸いにもゲームが詰むことはありませんが、本当に駄目な部分だと思います。

覚えたスキルを確認できないって、ゲームとしてありえないです。

 

 

イカサマのカードゲームを仕掛けて相手に勝つ。

そのゲームコンセプトは魅力的ですし、非常に面白いです。

最初にプレイしたときは神ゲーを予感させるほどに楽しかったのも事実です。

しかし、ゲームが複雑になり、システム的な欠点に気付くうちに、どんどん評価が右肩下がりになってしまいました。

 

ボクが強く非難したいのは、

「プレイヤーを最後まで騙せず夢から醒めさせてしまった詰めの甘さ」です。

 

音ゲー(リズムゲーム)であれば、

楽器を演奏している気分にさせなきゃ駄目なんです。

RPGであれば、

冒険をしている勇者の気分にさせなきゃ駄目なんです。

 

画面に表示されたボタンを押してるだけだよね。

おつかいを延々とさせられてるだけだよね。

その事実に気付かれた時点でゲームとして駄目なんですよ。

プレイヤーが夢から醒めてしまったら駄目なんです。

 

イカサマカードゲームシュミレーションではなく、

(実質QTEをやってるだけじゃん)と気付かれてしまうのが大問題です。

 

神ゲーになれるほどの素質があるのに、すぐにトリックに気付いてしまう。

イカサマに気付いてしまう。プレイヤーが夢から醒めてしまう。

 

本当に惜しい作品です。

文句ばかり書きましたが、もっと丁寧に作れば神ゲーになり得た作品だと思います。

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