※楽しみを奪わない程度にネタバレを含みます

 

1.「ペット 檻の中の乙女」ってどんな映画?

思い込みの激しい主人公は、同じ高校出身の女と偶然バスで乗り合わせ、恋をしてしまう。

しかし思ったように相手にされない主人公は、激しいストーキング行為に及ぶように。

ついに女を薬で昏倒させ、檻に閉じ込めることに成功するが…

サイコスリラー映画です。

ゴア表現(グロ)もエグいので苦手な方は注意です。

 

2.どんな人におススメ?

・サイコパスものが見たい方

・どんでん返しが好き

・心理戦が好き

 

3.珠音真珠の感想

「ペット 檻の中の乙女」

このタイトルには語弊があります。

乙女と聞けば、無垢な少女のような姿をイメージするかもしれません。

しかし、本作に登場する女は、とてもそのようなイメージのものではありません。

それは色んな意味で…

 

主人公のキモさが半端ではありません(もちろん褒め言葉)。

偶然バスのなかで会った同じ高校出身の女に恋をします。

あの手この手で距離を縮めようとしますが、見事に空振ります。

SNSで女の個人情報をチェックし、職場に大仰な花束を送りつける。

やり口がキモ過ぎる。

 

ボクが素晴らしいと思ったシーンが2つあります。

1つめが、女を誘拐する際に使う薬を、自分に打って効果を確かめるシーンです。

女に薬を注射し、昏倒させて連れ去ろうと計画するのですが、まず自分に打って効果を確かめたのです。

そして、計画を実行した際に、主人公は女に言います。

「害は無いよ、自分でも試した」

2つめが、女を閉じ込めるための檻をDIYするシーンです。

人間を閉じ込める檻を自作するって、とんでもない手間ですよ(真面目に突っ込むのは野暮だが…)

檻の作り方を調べ、必要なものを購入し、ガスバーナーで溶接し、檻を組み立てて行きます。

アクション映画の主人公が武器を自作し、武装を整えるシーンに通ずるものを感じます。

 

これらのことから分かるのは、主人公の「斜め上の真面目さ」です。

変な部分で生真面目なんですよ。

この見せ方は本当に上手いと思いました。

残念な人間の描き方として秀逸な表現です。

 

女を檻に閉じ込めた主人公は言います。

「すべては君のためだ」

何て一人よがりで気持ち悪い台詞なのでしょう…

しかし、この台詞が意外なことに間違ってもいなくて…

 

最後に、オチは凄く好きです。

「君のためにやった」ことが意外な形で成就するのは皮肉が効いていて凄く良いです。

ただ、都合の悪い部分をすっ飛ばし過ぎなのは気になります。

(あの状況からどうすればこうなるんだ…?)

その説明から逃げるのは不誠実だし、モヤる部分です。

ちょっとそこは気になりますが、全体を通して面白い映画でした。

テンポが良く、変に引き伸ばさないのも好感触です。