映画で生き残る

映画「アオラレ」は現代社会の縮図

映画「アオラレ」は現代社会の縮図です。

よくあるジャンル映画(簡単に言えばストーリーがテンプレ的な映画のこと)に見えて、社会的なメッセージが強い作品です。

 

※ここから楽しみを奪わない程度のネタバレをします

 

あらすじ

レイチェルは今日も寝坊してしまう。

急いで車へ乗り込み、子どもを学校へ送り届けようとするが、道は渋滞し思うように進まない。

やがてストレスが限界に達しようとしていたときに、青信号なのに発進しない車に遭遇してしまう。

思わずクラクションを鳴らし強引な追い越しをするレイチェルだったが、相手も自分と同じようにストレスの限界を迎えた男だった。

そして、レイチェルは男から執拗な追跡を受けることとなる。

 

強烈なストレスに晒され続けた人間が最悪の形で出会うと、このような悲劇が起こる、そんな映画です。

主人公のレイチェルと相手の男は合わせ鏡のような存在です。

どちらもストレスを抱え、疲弊し、いつ爆発するか分からない状態です。

そして、「どちらも自分が一番不幸」だと思っています。

 

レイチェルは、美容室をクビになり、夫と離婚し権利関係でモメていて、さらに小さな息子を育てています。

乗っている車もボロボロで生活も荒れています。

生活に疲弊し、ストレスを抱えています。

現代社会で生きる者にとって、レイチェルに共感できる部分も多いですが、実はレイチェルが人間的にだらしないのも事実です。

寝坊による遅刻の常習犯であり、時間にルーズすぎます。

性格も短気で自分勝手です。

運転のマナーも酷いもので、強引な割り込みや携帯をイジりながらの運転なんて当たり前です。

今回の惨劇も、自業自得なのかもしれません。

いままで見逃されてきた過失が、ツケを払わせに来たと言えます。

 

対して、相手の男はサイコですが、まったく同情ができないような人間でもありません。

妻とも上手くいっていない上に、怪我により仕事もクビになり、実は主人公と境遇がそっくりなのです。

さらに、クラクションを鳴らし煽ってきたレイチェルに対して、最初は和解を持ち掛けます。

レイチェルが見事に和解を断ったために、惨劇に発展してしまうのですが…

 

現代社会では誰もがストレスに晒され、誰もが爆弾を抱えています。

それこそクラクション一つで惨劇に発展しかねません。

運転中に道を譲るように、ちゃんと相手に譲ることを大切にしたいと思いました。

もちろん運転中だけではなく、歩行者として道を歩いていても、相手に対して自然と道を譲れる人間になりたいですね。

誰だって、自分が一番かわいいですし、一番不幸だと思い込みイライラしているのかもしれませが、そのフラストレーションを他人にぶつけても、さらなる悲劇を呼ぶだけです。

もっと他人に対して寛容になるべきなんでしょうね。

ボクも仕事が忙しいときは、ついつい他人に対して態度がキツくなってしまうことがあるので、この映画には戒められました。

余裕のないときほど、他人に対しての対応には気を付けなければいけませんね。

 

最後に、

この映画に出演しているラッセルクロウの演技が本当に素晴らしいです。

常に眉間にしわを寄せ、眼に光が無く、内に闇を抱え、凶暴性がにじみ出ています。

見事な役作りです。

さらに、バイオレンス描写がかなり自分の好みです。

車で轢く、殴る蹴る、投げ飛ばす、コーヒーカップを顔面に叩きつける、などなど。

その場にある物を利用して相手に追い詰めるのは、見ているものをハラハラさせます。

ボクは見ていてとても楽しかったです。

 

時間も90分でサクッと見られるので、とてもおススメできる面白い映画です。

現代人であれば色々と思うところがありますよ。

 

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