世の中にはさまざまな反則行為が存在します。
スポーツなんかが分かりやすいでしょう。
ボクシングで蹴りを使うのは反則です。
サッカーでキーパー以外の選手が手を使う(ハンド)のは反則です。
ビジネスの世界も同様です。
残業未払い(サービス残業)などの違法労働を強いれば、法律的に処分されます。
談合も犯罪行為として処罰されます。
なぜ反則が存在するのでしょう?
そもそも反則とは何なのでしょう?
「ゲームが崩壊するほど強い手段」
ボクは反則というものを、このように解釈しています。
サッカーで、みんなが手を使えばゲームが崩壊するのは容易に想像できます。
ビジネスで談合が許されるのなら、市場は独占され、自由競争が出来なくなります。
反則というのはゲームが崩壊するほど強い手段だからこそ、反則行為として禁止されるのです。
そして、必然的に反則スレスレの「グレーゾーン」は極めて強い手段になるのです。
昔、やたらと仕事が早い人を見ていて気付きました。
その人はグレーゾーンを使いこなすのが上手かったのです。
禁止されてはいないけれど、普通の人は常識的にやらないであろうことを平然とやります。
異様な仕事のスピート、他人との差はグレーゾーンを躊躇なく使いこなす、その姿勢にあることに気付きました。
それから、ボクもグレーゾーンというものを意識して働くようになりました。
「このゲームのグレーゾーンはどこか?」
グレーゾーンを使いこなすと、やっぱり仕事が早いし、結果が出るんですよね。
良く言えば「要領が良い」、悪く言えば「ズルい」。
良く言えば「強い」、悪く言えば「卑怯」。
日本では、何事も白黒ハッキリ付けないことが多いです。
だからこそ余計にグレーゾーンが強い。
「そんなこと聞いて無いんですけど…別に禁止されてるわけではないですよね?」
言い訳の余地がある、つまり交渉の余地があるのなら、そこはグレーゾーンです。
言い包(くる)めてしまうことだって出来ます。
サッカーでは、「シミュレーション」という反則行為があります。
大げさに倒れた振りをして、故意にファウルをもらう行為です。
シミュレーションは反則行為ですが、その証明は難しく、審判の裁定次第です。
つまり実質グレーゾーンです。
極めて強い手段であり、実質グレーゾーンであるが故に、現在でもシミュレーションは決して無くなりません。
サッカーに限ったことではありませんが、スポーツにはラフプレイというものが存在し、それが上手い選手もいます。
ラフプレイに優れた選手も、結果を出すことによって一定の評価を得ていることも事実です。
ボクは、反則行為をする人間は最低だと思うし、自分は手を染めようとは思いません。
しかし、反則行為の強さ、そしてグレーゾーンの強さも、社会人として理解しています。
とくに、グレーゾーンを使いこなしている人間の強さは、現場で学んで来たつもりです。
身も蓋もないことを言えば、誰もが何らかのグレーゾーンに手を染めているとも思います。
「反則やグレーゾーンに頼る時点で弱い、リスクを冒している時点で弱い」
このように考える方もいるかもしれません。
しかし、世の中は綺麗事だけでは語れません。
反則やグレーゾーンという視点を取り入れて物事を考えてみるのも良いとボクは思います。
そして、グレーゾーンを使いこなすのも、一つの強さだとボクは考えています。