ゲームで生き残る

仕事が終わらぬ夜は頭を抱えるのではなく歩き回るのだ「Endless Monday: Dreams and Deadlines」【感想、レビュー】

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1.「エンドレスマンデー、ドリームスアンドデッドラインズ」ってどんなゲーム?

コマンド選択方式のビジュアルノベルです。

物語を読み進めながら、そのときに合わせた行動を選択しましょう。

操作は基本的にマウスだけで完結しますが、スキップ機能を使うときだけキーボードを使用します。

ちょっとしたミニゲームもありますが、決して難易度は高くありません。

誰でも遊ぶことができるタイプの作品です。

 

締切まであと2日。

プレゼンの資料作りが終わらない主人公のOLに試練の夜が訪れる。

たして、サボり癖のある彼女は仕事をやり遂げることができるのか?

 

2.どんな人におススメ?

・社会人

・可愛い女の子が出てくるゲームが遊びたい方

・ぶっ飛んだゲームがプレイしたい方

・働き方などについて悩みを抱えている方

・クリエイティブな仕事をしている方

 

3.良かったところ

・ゲーム的にバッドエンドでも主人公にとってはハッピーエンドとなる

・クリア特典のゲストイラストが素晴らしい

・日本語のローカライズが完璧

・女の子がみんなかわいい

4.ちょっと気になったところ

・周回プレイが快適ではない

ただし、一周がそれほど長いわけではないのでそこまで気にならない

 

5.今からプレイする方へアドバイス

・一周目は思った通りにプレイすること

一周プレイすると、正解はどうすれば良かったのか何となく分かるように作られている

・困ったらTodoリストを確認する

6.珠音真珠の感想

エンドレスマンデイ

直訳すると「終わらない月曜日」

社会人にとっては悪夢のようなタイトルです。

本作は締め切りに追われるOLの奔走を描きます。

 

仕事に追い詰められる社畜系の作品かと思いきや、そういうわけでもありません。

主人公のOLは極度のサボり癖があります。

仕事中にスマホでゲームをする(そのときの幸せそうな表情がとても可愛かったりする)、趣味のお絵描きをする、などなど。

普段から、締め切りギリギリまで仕事をしないタイプです。

今回の出来事も自業自得なのです。

この辺りの描き方が作品の魅力の一つにもなっています。

 

サボりにしか見えない行為も、後々の仕事に役立つのも面白いポイントです。

クリエイティブな仕事をしている方は、何となく経験があると思います。

机の上で頭を抱えていても苦しいだけで無駄なのです。

仕事と関係の無いところからアイデアは降りてくるのです(主人公のように歩き回るのはとても良いです)

 

与えられた業務が完遂できず、仕事をクビになってしまう。

ゲーム的にはバッドエンドですが、主人公にとってはハッピーな終わり方をしたりします(ネタバレになりかねないので詳細は伏せる)。

「実は自分にはこの道の方が合っていた」

さまざまな選択肢を提示し、予想外の方向へ着地する、ビジュアルノベルの魅力が発揮されていると思います。

だからこそ、一周目は自分の好きなようにプレイするべきです。

 

個人的に胸を打たれた場面があります。

主人公の所属する会社を退職したスカイというキャラクターのセリフです。

スカイは退職し、自分の力だけで生計を立てようと奮闘しています。

しかし、残念ながら上手く行っていない様子です。

会社に所属していたときは、上手く行かないことを会社のせいにしていれば良かった

残業が、ストレスが、自分の時間が無さ過ぎるから…。

退職し、本当の意味で自分自身の足で歩かなければならなくなったとき、もう誰のせいにも出来ません。

上手く行かないときに、自分自身を責める他無いのです。

「こんな会社やってらんねーよ、うちの会社はこんなに酷いんだぜ?」なんて愚痴ることは出来ません。

「自分が悪い」、この現実を黙って受け止めるしかないのです。

この気持ちは痛いほどよく分かります。

なぜならボクも同じような状況で生きているからです。

 

スカイの着ているパーカーが欲しい。

WORK IS DA POOP.

 

仕事に対する姿勢であったり、これから到来するであろうAI革命による労働者の淘汰(もう来ているけど…)であったり、考えさせられます。

ただし、決して堅苦しい作品ではありません。

思いっ切りエンタメしています、ぶっ飛んでいます。

肩肘張らずにプレイする作品です。

 

試験前日に勉強が手につかず部屋の片付けが始まる。

仕事があるのに他の娯楽を優先する。

全人類が抱える人間らしさであり、愛くるしさでもあり、生存戦略でもあるのでしょう。









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