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不気味の谷を利用した良作ホラー…というだけではない傑作「M3GAN/ミーガン」感想 レビュー

1.「M3GAN/ミーガン」ってどんな映画?

高機能のAIを搭載したお友だちロボットが暴走するホラー映画です。

映画としての完成度が高い上に、人間について考えさせられる傑作でした。

 

2.どんな人におススメ?

・不気味の谷現象が好きな方

・ターミネーターやチャッキーが好きな方

・子育てや人間関係について悩んでいる方

 

3.珠音真珠の感想

お友だちロボットが暴走して襲ってくるホラー映画だって?

しかもジェームズ・ワン(SAWシリーズやアナベルシリーズで有名な方)が関わってるって?

この時点で一定の面白さは担保されているようなものです。

しかし、予想を超えた面白さでした。

今年のベスト候補です。

 

ボクは不気味の谷現象に興味があります。

不気味の谷現象とは、作り物がリアルになればなるほど、気持ち悪さを感じる現象のことです。

たとえば、凄くリアルな人形を前にして、(リアル過ぎて怖えーよ…)となる心理現象ですね。

ボクはゲームが大好きなのもあり、グラフィック(CG)の進化がどこまで行き着くのか注目しています。

不気味の谷現象というものも、感覚的に理解しています。

ゲームのキャラがリアルになればなるほど、ゾクゾクとしてくるのです。

だから、ミーガンという作品はボクの趣味趣向にも突き刺さった作品なのです。

実際に、ミーガンは美しくも、凄く不気味です。

 

本作は人間についても考えさせれられます。

ミーガンは両親を事故で亡くしてしまった少女のために作られます。

心に深い傷を負ってしまった少女に対するミーガンの姿勢は完璧と言って良いでしょう。

ずっと少女のそばに居て、面倒をみてくれる。

勉強だって教えてくれるし、決して裏切らない。

そんな献身的な振る舞いは、AIにしかできないでしょう。

なぜなら、人間は平気で嘘を吐くし、本質的には自分本位だからです。

子どもよりも仕事を優先するし、常にそばに居て面倒を見ることも現実的に不可能です。

 

しかし、そんな完璧なミーガンが人間的になり始めてから歯車が狂い始めます。

まるで人間のように嘘を吐き、自分本位となるのです。

自分の大切のもののためだったら、平気で他者を傷付け排除します。

姿はロボットでも、その行いや行動原理は人間です。

 

その頃にはすっかり少女はミーガンに依存してしまいます。

ミーガンを取り上げられると狂ったように暴れ出します。

その姿は禁断症状そのものです。

 

そのときに少女が掛けられた言葉が印象的です。

「悲しんでも良い」

人間が悲しむのは当然のことです。

人間には心がありますから。

ましてや少女は両親を亡くしたのです。

その悲しみはあまりあるものでしょう。

傷付いた心をナニカで無理やり埋めようとするなら、それは共依存を引き起こし、良い結果を生まないのかもしれません。

ストレスを、酒や性で埋めたりするのと本質的には変わらないのですから。

 

ちゃんと心と向き合って、それを乗り越えることが人間として理想の姿なのでしょう。

そんなことを考えました。

 

最後に、本作はとても楽しい映画であることを伝えたいです。

シュールで笑える場面も豊富で、アクションだって見応えがあります。

ジャンプスケア(ドッキリ)も良い塩梅で、ホラーとしてもしっかり怖いです。

つまり、映画として面白いんです。

それにプラスして、考えさせられる部分も多かったので、ボクにとってミーガンは傑作なのです。

 

しかし、オチは読めなかったなぁ…

流出したデータによって、他社からミーガンが大量出荷されるオチだと思ってました。

 

おまけ

映画館に置いてあったミーガンのパノラマのギミックが面白いです。

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