羊飼いを営みとする夫婦。
ある日、飼っている羊から、頭が羊で身体が人間の子どもが産まれる。
羊でも人間でもない奇妙な子どもを夫婦は育てることを決意する…
そこまでグロい作品ではありませんが、羊の出産シーンなど生々しい描写があります。
ネイチャースリラーと銘打たれていますが、美しい自然をバックにしたホラー映画だと思ってくれれば良いです。
一見すると奇をてらった作品に見えるかもしれませんが、王道で分かりやすい話だと思います。
・美しい自然が見たい方
・台詞による説明が少ない映画が見たい方
・アーティスティックな作品が見たい方
よく出来ています。
上品で美しい映画です。
ただ、面白いか?という問いには素直に頷けないのが本音です。
個人的には好みではないタイプの作品ですね。
一見すると奇抜で独創的な作風に思われるかもしれませんが、意外に分かりやすく王道的な作品です。
つまり、起承転結や因果応報がハッキリとしているのです。
多少の考察要素はあれど、決してワケの分からない話ではありません。
本作の特徴として、極端に台詞が少ない作りをしています。
台詞によるストーリーの説明は、ほぼありません。
本作に対して、よく分からなかったという感想を抱く方は、この作りに感覚を合わせられなかった(もちろん視聴者に問題があると言いたいワケではないです)のだと思います。
たとえば、普通の映画では、羊人間の出産シーンにて…
「なんなの!?この子は!?」
「俺に聞かれても知るか!」
「でも…凄く可愛いわ…」
「あぁ、紛れもなく俺たちの子どもだ…」
「あぁ…なんてかわいらしいの…さっそく家に連れて帰らなくちゃ…」
このように台詞によって映画の展開を説明すると思います。
しかし、本作では台詞による説明が無く、淡々とシーンの切り替わりで物語が進行するのです。
ぶっちゃけ、本作は30分くらいに縮められるくらいのストーリーなんです。
良く言えば丁寧に、悪く言えば鈍重に、大自然をバックに、物語をゆっくりと進行させていきます。
本当に失礼ですが、これが映画館ではなく、配信やレンタルで鑑賞していたなら、間違いなく早送りしていました。
30分程度で描けるはずのストーリーを2時間に薄めて引き延ばしているような印象すら受けます。
ただ、これは好みの問題です。
ボクは映画というのは、ストーリー性やメッセージ性よりも、まず面白いことを優先させて欲しいと思うタイプです。
どんなに素晴らしいストーリーや崇高なメッセージが込められていたとしても、エンタメとして楽しめなければ傑作だとは思えません。
そんな感性を持ったボクからすると、本作は薄味で退屈過ぎます。
オチも何となく読めていたので、驚きというものは無かったですね。
良く出来ていることは充分に認めつつ、もっと面白さを追求して欲しい作品でした。