幼い娘を誘拐され殺された父親が犯人に復習を果たす物語です。
タイトルから受ける印象とは違い、徹底して陰鬱でシリアスな作品です。
パリピの若者がヤバい殺人鬼に襲われ~みたいな軽いB級ホラーではありません。
・社会派映画が見たい方
・鬱々とした映画が見たい方
・シリアスな映画が見たい方
「拷問男」
このタイトルに騙されてはいけません。
徹底的にシリアスに作られた社会派映画です。
決して缶ビール片手に見るようなB級ホラーではありません。
※ちなみに原題は、「DADDY’S LITTLE GIRL」です。
原題ママの方が良かったんじゃ…
冒頭から陰鬱なBGMが流れます。
続いて、拷問器具をいじるシーン。
幸せそうな夫婦と娘の出産の回想シーン。
見ている者の居住まいを正されます。
(これはシリアスな作品なんだ…)と。
(真剣に見なければならない作品なんだ…)と。
冒頭の空気感は最後まで続きます。
仲間と集まって酒を飲んだり、サーフィンに出掛たり、いかにも楽しそうなシーンもどこか空々しいのです。
ずっと陰鬱な空気が漂います。
この空気感が素晴らしく、作品に凄みを与えています。
娘を殺された父親が犯人を見つけ、復讐のために拷問します。
そこにリベンジムービーのような爽快感は一切ありません。
印象的なのは、拷問の計画を立てている父親が少しだけ楽しそうなこと。
もっとも大切なものを奪われ、悲しみに打ちひしがれる父親が、息を吹き返すように復讐の計画に取り憑かれる。
・声をあげられないようにするにはどうすれば良いのか?
・対象が失神した場合はどうすれば良いのか?
・どれくらいやると人は死ぬのか?
・止血はどうするのか?
などなど。
綿密に拷問の計画が練られます。
ゴア表現も上手い具合に調整されています。
凄惨でありながら上品なんです。
下品で汚い描写はありません。
「SAW」シリーズや、「ホステル」シリーズのような、エンタメ化されたグロさではありません。
最後に、エンドロールの演出が素晴らしいです。
ネタバレになるので詳しくは書きません。
映画を見た者にズシンと来る余韻を残してくれます。
少しだけ邦題で損をしている良作です。
極めて真面目に作られた素晴らしい映画でした。