娘が失踪してから4年が経過した裕福な一家。
ある日、「娘が保護された」との連絡が入る。
久しぶりの再開に喜ぶ一家だったが、娘の様子はどこかおかしく…
前作である「エスター」の前日譚です。
エスターが孤児院に入るまでに何があったのか?という話です。
ただし、前作を見ていない方でも楽しめます。
前作を見ている方はより楽しめます。
・エスターというキャラをより深く理解したい方
・エスターの受難が見たい方
前作「エスター」が世界に与えた影響は絶大です。
映画としての完成度が高いのはもちろんのこと、「合法ロリ殺人鬼」というインパクトのあるキャラクターは世界を震え上がらせました。
本作はその前日譚にあたります。
結論から、ボクはあまり好みではありません。
メタ的な視点ですが、前作を鑑賞済みであれば、エスターがどのようなキャラか知っています。
前作を知らない方でも、「エスターが見た目は子どもだが、凶悪な殺人鬼である」ということを物語の冒頭から説明してくれます。
「エスターとは何なのか?」というネタバレをした状態から物語が始まるわけです。
これが何を意味するかと言うと、「こんな小さな子どもがまさか殺人鬼だった…」という前作とは違って、最初からエスターを暴れさせることができます。
実際にエスターは冒頭から暴れまくりです。
凶暴な性質と、知能的な立ち回りを披露してくれます。
ボクは劇場でぶち上がりました。
これが見たかった。
上質な殺人鬼グラビアをたっぷり堪能できると興奮しましたね。
ところが、ネタバレを防ぐためにボヤかしますが、物語の途中で物凄いツイストが入るんです。
これには驚愕しましたが、そこから中だるみしますし、個人的に好みの展開ではありませんでした。
エスターと同じくらいの悪が、敵としてエスターの前に立ちはだかるのです。
エスターにも災難が降りかかるという展開は、キャラクターの描き方としてフェアだと思いますが…
エスターもその敵も、同じくらいクソ野郎なので、見ている側としてノリずらいし、どういう気持になって良いのかよく分かりません。
敵側が間抜けなのもイライラします。
前作では、夫の無能っぷり(ただしそれが物語的に意味がありました)にイライラしましたが、今回は敵の無能っぷりにイライラします。
前作を見ている人であれば、ストーリー的に結末を知っているわけで、最終的にどちらが勝つか分かっています。
その時点で、対決に緊張感が無いのです。
(結局エスターが勝って生き延びるんでしょ…)と、茶番感が拭えません。
敵の性質的にも、エスターの「合法ロリ殺法」が封じられてしまったのが良くなかったと思いますね。
殺人鬼の魅力を削ぐような展開は良くないです。
もっとエスターが好き勝手に暴れられる舞台を用意して、殺人鬼グラビアとしての完成度を高めて欲しかったのが本音です。
おぞましくも悲しい殺人鬼であるエスターの受難を描いた本作は、よく出来てはいるのですが、好みの展開ではありませんでした。
前作の完成度が高過ぎたというのもありますね。
しかし、時を超えて同じエスターを演じた「イザベル・ファーマン」は本当にお見事でした。
高い演技力はもちろんですが、エスターというキャラクターの持つ歪さを見事に表現していました。
現代でも劇場にてエスターを見られたことが、映画ファンとしては何よりも嬉しいですね。