2ちゃんねる発祥の怪談を映画化したホラー映画です。
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全体的にジャンプスケア(ドッキリ)が多いので、苦手な人はご注意。
・お化け屋敷的なホラーを求めている方
・インディーのホラーゲームが好きな方
率直に感想を言うなら「やりたい放題」といった印象です。
きさらぎ駅はボクの好きな怪談のひとつです。
しかし、本作に関しては、きさらぎ駅を完全に再現しているとは言えません。
きさらぎ駅の大筋だけを辿り、あとは好き勝手に改変されています。
まず良い部分を挙げます。
恐怖演出をジャンプスケアばかりに頼っているとはいえ、それなりに見ていて怖いし楽しいです。
本作はPOV(一人称視点)を活用している場面が多いのですが、上手く機能していると思います。
音響も悪くなく、POVによる臨場感はなかなかのものがあります。
まさにお化け屋敷的な体験ができるので、カップルなんかで見に行くと楽しめるかもしれません。
興味深いと思ったのが、割と明るい画面で物語が進行する点です。
ホラーと言えば、夜を舞台にすることが多いですが、本作では昼~夕方程度の時間帯で進行する場面がほとんどです。
そのおかげで画面がはっきり見えるし、怪異などもしっかり確認できるのは好印象です。
なおかつ、画面が明るくても、それなりに怖かった(ジャンプスケアに頼りすぎですが…)のは素晴らしい部分だと思います。
そして、最大の褒めポイントがあります。
きさらぎ駅に「異世界エレベーター」の設定を盛り込んできたことです。
異世界エレベーター↓↓
準備する方法:10階以上あるエレベーター
1.まずエレベーターに乗ります。
(乗るときは絶対ひとりだけ)
2.次にエレベーターに乗ったまま、4階、2階、6階、2階、10階と移動する。
(この際、誰かが乗ってきたら成功できません)
3.10階についたら、降りずに5階を押す。
4.5階に着いたら若い女の人が乗ってくる。
(その人には話しかけないように)
5.乗ってきたら、1階を押す。
6.押したらエレベーターは1階に降りず、10階に上がっていきます。
(上がっている途中に、違う階をおすと失敗します。ただしやめるなら最後のチャンスです)
7.9階を通り過ぎたら、ほぼ成功したといってもいいそうです。
成功を確かめる方法は、1つだけあるそうです。
その世界には、貴方しか人はいないそうです。
そこからどうなるかは、わかりません。
でも一つ言えることは、5階で乗ってきた人は、人ではないということだけ……。
これはネット怪談好きのボクはぶち上がりましたね。
素直に上手いと思いました。
このように良い点だけを挙げるのなら、それなりに良作に思えるかもしれません。
しかし、悪い点もたくさんあるんです。
3つに絞って挙げましょう。
1.電波シナリオ
ストーリーも設定も滅茶苦茶です。
やりたい放題です。
個人的な印象で言うなら、インディーのホラーゲーム的な作りをしていると思いました。
名作から様々な要素を持ってきて、模倣してごちゃ混ぜになった結果、闇鍋的なものが出来上がったという印象です。
物語の進行もゲーム的なんですよね。
ここでこういうイベントが起こりますよ~、こういう手順で解決しましょう~、みたいな作りをしているんですよ。
前半できさらぎ駅に迷い込んで脱出し、後半でもう一度きさらぎ駅を訪れて攻略するという展開になるのもゲーム的です。
きさらぎ駅を攻略しようとするのは、少しだけワクワクしますが、前半で見た場面をもう一度繰り返されるのは退屈で仕方がないのも事実です。
2.キャラがステレオタイプすぎ
感情移入できるキャラがまったくいないです。
登場人物が、聖人君子、悪人、その他やられ役、というあまりにステレオタイプ過ぎます。
役者の演技がいちいちオーバーアクトで、あまりに分かりやすすぎるのもしらけます。
誰一人として人間らしさが感じられないし、舞台の都合に合わせただけのキャラを適当に用意した感があります。
3.絵作りがチープ
これは深く追求しません。
予算の都合もあるでしょうし、突っ込むのは野暮なのも理解しています。
なので一言だけ。
全体的なデザインが「ダサい」です。
ボクはネット怪談直撃世代で、現在でも好んでネット怪談を読んでいます。
ネット怪談を応援する気持ちで劇場に足を運びましたが…あまり満足な出来とは言えませんでした。
言っちゃ悪いですが、きさらぎ駅を元ネタに適当に映画の形に整えて作ったという印象です。
劇場で見たのでそれなりに楽しかったのも事実なんですが、あまりおススメはできません。