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まさに頭狂、これが東京「Tokyo Dark」感想 レビュー

 

1.「Tokyo Dark」(東京ダーク)ってどんなゲーム?

ポイント&クリック型のホラーアドベンチャーゲームです。

台湾の名作ホラーゲームである「返校」、古い作品だと「クロックタワーシリーズ」のようなゲームをイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。

「主人公の女刑事が消えた恋人を追って東京近郊を散策する」というストーリーです。

 

2.どんな人におススメ?

・東京近郊に住んでいる方

・アイドル、アキバ、裏社会、これらのキーワードに興味をそそられる方

・オカルトが好きな方

・一風変わったゲームがプレイしたい方

・病んだ女の子が好きな方

・サクッと遊べるゲームをプレイしたい方

ボクは初見で4時間くらいで終わりました。

 

3.良かったところ

・SPIN値という斬新なシステム

本作の主人公には「SPIN値」という独特のステータスが設定されています。

「SANITY=正気」

「PROFESSIONALISM=専門技術」

「INVESTIGATION=調査」

「NEUROSIS=ノイローゼ」

それぞれの頭文字を取って「SPIN値」です。

主人公の取った行動によってステータスが細かく変動します。

このシステムがなかなか味があるんですよ。

たとえば、不必要に同じ場所を捜査したり、何度も同じ人に話し掛けるとノイローゼ値が上がります。

何だかリアルですよね。

ボクらも無意味に同じ行動を繰り返すとウンザリするように、本作の主人公もウンザリするのです。

とてもユニークなシステムだと思います。

・狂った主人公による先の読めない展開

ストーリー的にも先が読めない展開が続きますが、それよりも主人公が狂っているのが物語の求心力に大きく貢献しています。

主人公の奇行を3つほど挙げましょう。

1.長い棒が必要になり、近くに生えている竹に銃を発砲してへし折り代用する

2.警察署内で火災報知器を鳴らして人払いし、さらに発砲までして重要証拠物を盗む

3.引き留める駅員さんをぶん殴り逃げる

これらを読んで(面白そう)と感じたならプレイしましょう。

・東京の持つさまざまな表情を上手くゲームに落とし込んでいる

東京は本当にさまざまな表情を持つ場所ですよね。

一駅歩くだけで全然違う街並みになりますし、昼と夜でも別世界になります。

それは住んでいる人も同様で、表面上は善人でも裏の顔があったり、ある人から見ると善人でも、ある人から見ると悪人だったりします。

そんな東京の生々しさであったり、混沌とした部分を上手くゲームに落とし込んでいます。

・実は物凄くリアル???

詳細は感想にて。

 

4.ちょっと気になったところ

・エンディング回収が面倒

エンディングが10種類以上あるのですが回収が非常に面倒です。

もっと快適に回収できるようにして欲しかったです。

・エグい話が多い

個人的にはあまり気になりませんでしたが、人によっては本気で不快感を覚えるかもしれません。

「闇金ウシジマくん」のような作品を読んで気分が悪くなる人であれば注意した方が良いかもしれませんね。

エグくて胸糞な展開が多いです。

性的な話も多く、「下ネタ」程度に笑って流せるような話ではないものもあります。

しかし、その辺が非常に東京っぽいです。

 

5.今からプレイする方へアドバイス

・一週目はとにかく自分の好きなようにプレイしよう

自分の思った通りの選択肢を選び、好きなようにプレイしましょう。

絶対にそうするべきです。

(ゲーム的にこっちの選択肢を選んだ方が良いだろう)などと、メタ視点を持つべきではありません。

どんなゲームでも初見プレイは1度しか味わえません。

自分の思ったようにプレイしましょう。

・ステータス(SPIN値)はあまり気にしないようにしよう

ステータスをそれほど気にする必要はありません。

よほど極端な数値にならない限りゲームに影響を与えません。

(そろそろ〇〇のステータスがヤバいな)などと気にせず思ったようにプレイしましょう。

 

6.珠音真珠の感想

結論から「かなり人を選ぶけど、ボクは大好きな作品」です。

 

(なんてイカれたゲームなんだ…この主人公狂ってやがる…)

本作に対しての第一印象です。

主人公の女刑事はどこでも銃をぶっ放すし、降りかかる問題は暴力や脅しで解決することも日常茶飯事です。

そのくせメンタルが不安定で精神安定剤が欠かせません。

ハッキリ言ってまともじゃないです。

 

ゲームの冒頭から人通りのある路地でゴミ箱の鍵を壊すためだけに発砲しますからね。

完全に倫理観が欠如しています。

しかし、そんなぶっ飛んだ展開によってゲームのつかみは完璧です。

(このゲームまともじゃない、もしかすると、とんでもない作品かもしれない…)

そんな期待を持つのに十分過ぎる演出でしょう。

 

本作には数種類の恐怖が詰め込まれています。

オカルト、人怖、裏社会、さらにアイドルの枕営業まで、まさに恐怖の闇鍋です。

さまざまな要素が同時に混在する感じが凄く東京っぽいんですよ。

東京の闇、そして人間の病みに顔を覗き込む瞬間がたまらないです。

街を散策し、調査を進め、人を知るほどにどんどん裏側が見えてくる、そして真実に気付きゾッとする、最高に楽しいですね。

 

ボクは主人公が狂っていると何度も述べてきました。

その考えはゲームをクリアした現在でも変わりません。

主人公が冒した数々の奇行は、とても理解できるものではありません。

しかし、一周回ってリアルに感じてくるのも事実です。

 

少しセンシティブな言い方をしますが…

「頭のおかしい人ってこんな感じで物事を考えているんだろうな」

「頭のおかしい人ってこんな感じで世界が見えているんだろうな」

と、現実感を伴って思わせられるのです。

 

さらに、舞台が東京ということもあり、多種多様な人物が登場します。

主人公と同等かそれ以上に狂った人間も登場します。

勤務中にも関わらず他人に恋文の配達を頼む人間もいます。

自らを(猫の)下僕と呼び、愛する猫のために借金を背負ってまで猫カフェを経営する人間もいます。

それらも見る人によっては狂っていると言えるでしょう。

狂っているのは主人公だけではないことに気付きます。

結局はみんな狂っているのです。

東京ではなく頭狂です。

こんなところに住んでいれば頭のネジが2~3本吹っ飛ぶのも仕方ないのかもしれません。

そんな東京の抱える闇が凝縮されて作品に落とし込まれているのが素晴らしいです。

まさに東京ダーク、これが東京の現実なのです。

 

エンディングの種類が豊富なのは良いですが、回収が面倒なのが唯一の欠点です。

せっかく面白いエンディングが多数用意されているのに、これでは回収せず終わる人も多いのではないでしょうか。

とても勿体ないと思います。

 

総じて「かなり人を選ぶけれど、東京の闇を落とし込んだ怪作」です。

闇と病みが凝縮された闇鍋です。

繰り返しますが、ボクは大好きです。

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