実験による事故により、蝿の遺伝子を組み込まれてしまった人間の悲劇を描く作品です。
「ハエ男の恐怖」という作品のリメイクとなっていますが、原作は未鑑賞なのでここでは触れません。
1986年のアメリカ映画です。
かなり古い作品ですが、今見ても古臭さは感じません。
それどころか、当時にしてはハイクオリティ過ぎる特撮技術を堪能できます。
「遊星からの物体X」のような作品が好きな方は、絶対に気に入ると思います。
非常にグロテスクです。
ゴア表現が豊富なのもありますが、精神的にもヤラれる気持ち悪さです。
モロに食欲が無くなるようなグロさです。
人間が人間で無くなっていくおぞましさをたっぷり堪能できます。
・グロテスクな作品が見たい方
・SFが好きな方
・人体実験や、人と生物の融合などのテーマが好きな方
・特撮が好きな方
本作を鑑賞するのは、3度目になります。
それくらいボクは「THE FLY」が大好きなんですよね。
ストーリーや特撮技術を堪能できるのはもちろんとして、
ボクにとって本作は仮面ライダーに近いものがあると思っています。
人間と虫の遺伝子を結合して、仮面ライダーみたいに格好良くなるわけないだろ?
真の改造人間ってこういう感じになるんじゃないか?
そんな思いを映像化してくれているのが本作なのです。
(一応断っておきますが、ボクは仮面ライダーが大好きです。仮面ライダーに対する批判ではありません)
主人公である天才科学者が物体の転送装置(テレポート)を発明したのが本作の始まりです。
物体のデータをコンピュータに取り込んで、転送先でデータを復元するのです。
しかし、その転送装置には問題がありました。
単純な物体であれば転送可能なものの、生き物はデータが複雑過ぎて処理できません。
試しに猿(狒々)を転送してみると、身体の皮膚が裏返った状態で復元されてしまいます。
絵面的にもグロテスクでショッキングな場面です。
試行錯誤の末に、転送装置に改良を加えて、ついに生き物の転送も可能となりました。
そんな折、恋人との諍(いさか)いでイライラしていた主人公は、酒の勢いも手伝って、自身で転送装置の実験をします。
その実験の最中に、転送装置にハエが入り込み、主人公は遺伝子ごとハエと結合してしまいます。
そこから主人公はどんどん変態を遂げるのですが、もうグロいなんてもんじゃありません。
顔中が吹き出物だらけになるのは序の口として、粘液をしたたらせながら手の爪を剥がしたり、血を吐きながら歯が抜けたりします。
痛々しくて見ていられないのですが、この時代のグロさってやっぱ最高です。
性格も浮き沈みが激しくなり、やたらと攻撃的になります。
身体能力もオリンピック選手顔負けどころか、もう怪人の域です。
性にも強くなり、性欲が爆発します。
ハエ人間に近づくに連れての演技がまた素晴らしいんです。
ピクピクと小刻みに顔を左右に動かして、動きが完全にハエです。
攻撃方法も殴ったりするのではなく、口から溶解液を吐き出すというのが良いですね。
食欲が無くなるので、ダイエット中の方にもオススメです。
完全変態したときの特撮も最高なんです。
顔が左右に割れて、目玉がボトリと落ちる、非常にインパクトのあるシーンですが、細かな作り込みに感動します。
エンディングの切れ味の良さも完璧です。
切ないラストのあとは、余韻に浸る間も無く、スパッと終わります。
この切れ味はもっと評価されるべきです。
ボクにとってのシン仮面ライダーはこっちなんです。
文句なしの大傑作です。