映画で生き残る

これが現代のホラーの集大成かつ完成形「呪詛」感想 レビュー

 

1.「呪詛」ってどんな映画?

かつて禁忌を破ってしまった母親が娘にかけられた呪いを解くために奔走する台湾産のホラーです。

POV(一人称視点)で物語が進行します。

ほどよくジャンプスケア(ドッキリ)があります。

ややグロテスクな表現もあります。

 

2.どんな人におススメ?

・とにかく質の高いホラー映画が見たい方

 

3.珠音真珠の感想

タイトルでも書きましたが、現代ホラーの「集大成」かつ「完成形」だと思います。

極めて質の高いホラー映画です。

これまでのホラー(映画)史を踏襲したような作りであり、上手くまとめられている印象です。

 

いきなり意地悪なことを言います。

本作には特別なシーンであったり、オリジナリティ溢れる部分というのはありません。

どこの場面を切り取っても、他のホラーで見たことのあるような描写ばかりです。

しかし、そのすべてが高品質で、なおかつ設定も含めて上手くまとめられているのです。

 

たとえば、現代ではハンディカメラを利用したPOV形式、ファウンドフッテージ形式のホラーが氾濫しているのは言うまでもありません。

そこに、「なぜ危機的状況で呑気にカメラをまわしているんだ?」という意地悪なメタ的ツッコミを入れることもできます。

そのツッコミに対して「配信者(ユーチューバー)だから」というエクスキューズを入れることによって、ストーリーを成立させているのもまさに現代的なホラーの作りと言えるでしょう。

本作の呪詛も例外ではなく、主人公は配信者なのですが、そこにもう一つの仕掛けがあるのが上手いんです(極めて重大なネタバレになるので詳しくは書きません)。

なぜPOV形式にしたのか?なぜわざわざ動画を撮り、その動画を残すのか?

そこにツッコミの余地を残さないんですね。

本当に設定がしっかりしています。

 

気になるところは、少しだけテンポが悪い、というか場面の切り替えによって、なかなか核心に迫ってくれないところくらいです。

逆に言えば、視聴者に対して考えさせる(想像させる、頭を使わせる)作りをしているとも言えるので一長一短なのかもしれません。

 

ほどよくジャンプスケアもあって緊張感があり、ジメジメとした日本的な怖さもある呪詛は、欠点が少ない現代ホラーの集大成かつ完成形なのです。

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