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【格ゲー考察Part.63】「投げ抜けした側にチップダメージ」という狂気の仕様について語ってみる【鉄拳8シーズン2】

鉄拳8シーズン2初期では、「投げ抜けした側にチップダメージ(白ダメージ)が入る」という狂気のシステムが追加されました。

ユーザーからの大不評によって、その仕様はすぐさまアップデートによって消されました。

今回は、この狂気の仕様について思うところを語ってみたいと思います。

 

まず、この仕様には断固として反対だし、消したのは英断だと考えています。

ただ、やりたいことは分からなくも無いんですよね。

 

鉄拳8ではアグレッシブというコンセプトの元に、攻めが強くなりました。

分かりやすいところとしては、一部の攻撃をガードさせたときに、回復可能のチップダメージを与えるという新システムが付きました。

攻撃をガードさせることによって相手の体力を削ることができる

攻撃することに明確なリターンが生まれます。

 

この仕様を、そのまま「投げ」で行おうとしたのだと思います。

投げを抜けられても相手にチップダメージを与えることができる

投げを仕掛けるメリットが強化され、よりアグレッシブに投げを狙うことができます。

 

そして、それは上級者に向けた調整であることも予測できます。

 

鉄拳シリーズは、投げを見てから抜けることができます。

上級者同士の対戦だと、投げはほぼ通りません

投げを5回仕掛けて1回通るかどうか、くらいだと思います。

抜けられる前提で仕掛ける、通ったらラッキー、くらいの感覚で投げを使っている方も多いでしょう。

 

余談ですが、投げの面白い使い方として、位置の入れ替えがあります。

壁を背負った状態で投げを仕掛けると、たとえ投げ抜けされても位置を入れ替えて相手を壁に押し込むことができます。

上手いプレイヤーはよくやってきます。

本来の投げの役割はガード崩しだと思いますが、抜けられる前提となってしまったシーンでは、独特の攻略法も生まれているのです。

 

鉄拳8では全体的に投げが強化されました。

通常投げは一律でホーミング属性(横移動で回避できない)となり、抜け不可の投げも増えました。

 

個人的には、投げが強くなることには賛成です。

なぜなら、鉄拳シリーズの投げは格好良いからです。

試合が映えます。

見ている側も楽しめます。

 

前作の鉄拳7

プロレスラーであるキングは、ひたすら山ステしながら4LPを擦り、ローリスクに6LKで牽制、なんて塩レスラーの鑑のような戦法でした。

その戦い方でどうやってお客を呼ぶつもりなんだ??

豪快な投げがほぼ通らない。

プロレスラーなのにプロレス殺法ができない。

そのテクニックを理解し、盛り上がるのは鉄拳有識者だけ

 

投げが強くなるというのは、受け手からすると不快でしょう。

しかし、ほぼ投げが機能しない、従来の地味な展開には何らかのテコ入れは必要だったと思います。

 

eスポーツの時代です。

プレイヤーが楽しむのはもちろん、見ている側も楽しませなければなりません。

格好良い投げを見る機会が増えるのは悪いことではありません。

それを後押ししたかったのが、投げ抜けのチップダメージだったのではないかと推測します。

 

しかし、ここで大問題となるのが、新規さんや初心者さんの層です。

鉄拳シリーズに慣れていないプレイヤーからすれば、投げはガード不能の上段と一緒です。

投げから崩されまくる、投げ抜けしてもダメージを取られる

理不尽極まりないです。

投げ抜けしてもチップダメージというのは、投げのリスクも理解している上級者の間でだけ成立するシステムです。

 

結果的には、無くなって良かった狂気の仕様だと思っています。

ただ、やり方はともかく、投げを強くするという方向には賛成だし、まったく意味不明の仕様だとも思っていません。










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