密室に閉じ込められてしまった老若男女がデスゲームを行います。
数分ごとに投票権が与えられ、投票された人物から死んでいきます。
このゲームの目的とは?最後に生き残るのは?
シチュエーションスリラー映画です。
ゴア表現(グロ)はありません。
アメリカの社会問題を風刺した作品でもあります。
・人種や資本主義などの社会問題を扱った作品が見たい方
・人間の愚かさを扱った作品が見たい方
結論から「やりたいことは分かるけれど、映画的には面白くなかった」という感想になります。
生き残るために、次の犠牲者を選出し続けるデスゲームものです。
犠牲者として選ばれた人間は、謎の機械から光線のようなものが射出され消えていきます。
とくにゴア表現はありません。苦手な方も安心して見られます。
この映画は登場人物が40人~50人くらい(正確に数えていないので分からないですが…)出てきます。
(多すぎだろ!)と思うかもしれませんが、いざ見てみるとその理由も分かります。
数分ごとに人が死んでいくからです。
物語は、ずっと密室のなかで展開されます。
絵面も変わりません。
明らかに低予算映画なのですが、次々と人が死ぬことによってテンポの悪さはそれほど感じません。
そこそこスリリングなのです。
年寄りから死ぬべきだ、それが自然の摂理だ~
家族がいないものから~
犯罪者から~
人種が~
自分に都合の良い理屈を並べ立てて争う様子は本当に醜いです。
中には善人もいて「これ以上、人を殺すのは耐えられないから次は自分が犠牲になる」と言い出す人までいます。
軍人に突っかかって「本当は何か知っているだろ?!正直に話せ!」なんて詰め寄る場面もあり、陰謀論のようなものまでチラついてちょっとワクワクします。
スリリングでそこそこ面白いんですよ。
ただし、それは映画全体の3分の1くらいです。
さすがに、人が言い争いを繰り返し、次の生贄を選出する流れを1時間以上も見ていると飽きてきます。
文字通り、ずっと絵面が変わらないのです。
回想シーンのようなものすらありません。
(こうすれば助かるかも?!)なんて問題が解決される気配もありません。
(このデスゲームはそもそも何なのか?!)謎が明かされる気配もやはり無いのです。
もっとも致命的なのは、乗れる人物がいないことです。
本作は、目立った人間から死んでいきます。
目立った人間とは自己主張する人間です。
自分はこのような人物です。
自分はこのような考えを持っている、みんなはどうだろうか?
自己主張した人間が次の犠牲になりやすいです。
そのせいで、登場人物のバックボーンが見えて来ないんですよ。
バックボーンが見えないせいで、どのようなキャラなのか分かりません。
どのようなキャラか分からなければ、感情移入も出来ません。
このキャラには生き残って欲しい!
このキャラはどうなるのだろうか??
なんて思う暇も無く、次々と死んでいきます。
何が起こるか分からなくてスリリングとも言えますが、それも最初だけです。
その流れを繰り返し見ていると”どうでも良くなってくる”のです。
結果的に凄く退屈になってきます。
(もう良いから次の話に進んでくれよ…誰が生き残ろうがどうでも良いよ…)
オチも微妙でしたね。
とくにカタルシスのようなものであったり、胸糞というものもありませんでした。
本当に人間って愚かだよね!
うん、知ってる、それで?
という具合で、「だから何なんだ感」を残したまま終わりました。
不条理劇として見事に〆ているのですが、心に残るものが何も無いのです。
おそらく、アメリカ人が見なければ、本当の面白さは分からないのだと思います。
多民族国家で生きている、アメリカの資本主義のなかで生きている、そういう肌感覚が無い人間にはいまいちピンと来ないのかもしれませんね。