映画、ドラマ、映像作品で生き残る

「クガハラ」と「仮面ライダー龍騎」が自分に与えてくれた影響について語ってみる

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※あくまで個人の経験と主観に基づいた話です。また「仮面ライダークウガ」が大好きな人は読まない方が良いかもしれません。

 

一昔前に「キメハラ」という言葉が流行りました。

「鬼滅の刃ハラスメント」の略です。

 

まだ鬼滅見てないの?

鬼滅って面白いよね?

熱心な作品ファンによる同調圧力を表現した言葉ですが、これと同じような経験を自分は仮面ライダーシリーズで受けています。

 

それが「クガハラ」です。

仮面ライダークウガの熱心なファンから何度か受けました。

 

前提として、仮面ライダークウガは名作だと思います。

そこに異論は無いです。素晴らしい作品です。

 

ただ、個人的な感想ですが、仮面ライダークウガは「面白い」というよりも、「良く出来ている」という表現の方が合うのです。

完成度が高いとは思いますが、面白さで言えば他のシリーズの方が面白いと思います。

もちろん、これは作品の優劣を競っているのではなく、個人の好みの問題です。

 

主人公の五代雄介が苦手です。

怖いんですよね。

あまりにヒーロー然とし過ぎていて人間味を感じません。

任天堂のキャラクターに似通った無機質さを覚えます。

排泄や性欲といった、当たり前に生物が持ちうるものが無い感じと、人間としての(あるいはヒーローとしての)理想像を体現し過ぎて怖いのです。

 

よく、五代雄介がゴ・ジャラジ・ダ(ヤマアラシグロンギ)を怒りに任せて殴り殺すエピーソードが取り沙汰されますが、個人的にはあの姿の方が安心できます。

(そりゃ怒るよね)と、腹の底が見える感じが良いのです。

普段の清廉潔白過ぎる、好青年過ぎる振る舞いの方がよっぽど怖いです。

 

ヒーローとしての理想像という意味では、昭和ライダー(便宜的にブラックRXも含む)なんかは、ファンタジーとして見れるから良いのです。

クウガは、「実際に社会を脅かす怪人が出てきたらどのように対応するのか?」という、あまりにリアル過ぎる作りをしているがゆえに、五代雄介のキャラクターが浮いて見えるのです。

 

ここまで読んでも分かると思いますが、ボク自身の感性も多分に歪んでいます。

 

当時、中学生だった自分が夢中になったのが「仮面ライダー龍騎」です。

モンスターと契約して、ライダー同士で殺し合う。

これまでのライダーシリーズではあり得ないバトルロワイアルものです。

 

デッキ(変身ベルト)を手に入れた人間がライダーとなる。

カードを使って戦う。

これらの設定も好みです。

もし自分がデッキを手に入れたら、どんなモンスターと契約するだろうか?

もし自分だったら、どのようにカードを使って戦闘を進めるだろうか?

そのような妄想をするのが楽しかったです(同じような理由で555も大好き、ベルトを手に入れたらライダーになるチャンスがある、豊富なギミックが妄想を膨らませてくれる)。

 

とくにお気に入りのキャラだったのが「浅倉威」(あさくらたけし)です。

仮面ライダー王蛇に変身する凶悪な殺人犯であり、ケレン味たっぷりのサイコパスとして描かれた人物です。

リアル中学生だった自分がヤラれてしまうのも無理ありません。

もし、王蛇がサヴァイブ(強化形態)したらどうなるのだろうか?

そんな妄想もとても楽しかったですね。

 

余談ですが、「仮面ライダーアウトサイダーズ」にて王蛇がサヴァイブ形態になります。

(スーツアクターさんのわがままボディはともかく)これが見たかったんだよな~!なんて特撮オタクとしてテンションが上がったのは言うまでもありません。

 

主人公の城戸真司も凄くて、ライダーシリーズで一番のイケメン主人公だと思っています。

にも関わらず、その演技力によって三枚目に見えるのも本当に凄いところです(映画版では城戸真司の分身が出てくるのですが、その演技の差もぜひ見て欲しい)。

 

龍騎の魅力を語ればキリが無いので、ここまでにします。

 

龍騎が自分に与えてくれた影響は大きいです。

大人になったいまでも、「面白ければ何でも良いじゃん、どんどん新しいことをやってくれ」なんて感覚が強かったりします。

ライダー同士で殺し合う?

スリリングで全然良いじゃん!

殺人犯がライダーになる?

ワクワクするじゃないか!

伝統あるシリーズでも、あまり過去にとらわれずに、作家が描きたいものを貪欲にやって欲しいと思う派です。

 

しかし、それを許してくれない勢力が自分の周りにいたクウガファンだったのです。

当時、ボクの周りにいたクウガファンは龍騎をボロクソに言っていました。

「こんなの仮面ライダーじゃない!!」

ライダー同士が殺し合う、悪のライダーが出る、それらの設定が許せないようでした。

 

個人の偏見ですが、クウガファンはガチ勢が多い印象があります。

クウガ至上主義とも言うべきその姿勢に、自分は少なからず嫌な思いをしたことがあります。

 

もちろん、作品に対する熱量が高いことを否定するつもりはありません。

作品に対する思い入れは、他人がとやかく言うことでは無いでしょう。

 

ライダー同士が殺し合う。

悪のライダーが出る。

それらに嫌悪感を示すのも分かります。

仮面ライダー龍騎を認めないのも個人の自由です。

 

ただ、自分が出会ったクウガファンは、あまりに排他的な人が多かったのです。

自分はいまでも特撮オタクと飲みに行ったりするのですが、、

「クウガ大好きっす!」という人と出会うと、ちょっと身構えてしまいます…。

 

仮面ライダーディケイドで、クウガが出てきたときにクウガ信者の友だちはマジギレしていました。

「あんなのクウガじゃない!!クウガというのは…!!」

「ライジングアルティメットとか許せない!!」

どのような感想を抱こうが、個人の自由です。

 

こんなの◯◯じゃない!

これは仮面ライダーだけではなく、あらゆるコンテンツに存在する問題です。

 

こんなのロックじゃない。

こんなのラーメンじゃない。

こんなのアイドルじゃない。

 

仮面ライダークウガを否定するつもりも、仮面ライダークウガのファンを否定するつもりもありません。

仮面ライダークウガが名作なのは間違いのない事実です。

それ故に、神格化されすぎて、アンタッチャブルになっているような空気も感じます。

長年特撮オタクをやっていますが、そう思うことが多いです。

 

自分は仮面ライダー龍騎に心から感謝しています。

若い時分に、なるべく多くのものを受け入れる感性を与えてくれたことに。

いま考えても、本当にあり得ない設定だと思うんですよ。

13人のライダーが願いを叶えるために殺し合う。

よく企画が通ったと思います。

ある意味では奇跡の作品なのかもしれません。

 

「◯◯の新作が大炎上!!往年のファンが激怒する理由とは?!」

よくこんなトピックを見かけるじゃないですか。

そういうのを見かける度にちょっとワクワクします。

小馬鹿にしているわけではありません。

スキャンダルを楽しむ気持ちもありません。

 

一体どんな新しいことをしたんだ?

そんな気持ちが刺激されるからです。












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