類まれなる才能と表現媒体について考えさせられる「しかくの勿忘草」感想、レビュー


RPGツクールで製作されたホラーアドベンチャーゲームです。
各地で必要なアイテムを入手したり、謎解きをしてゲームを進めます。
追いかけっこやジャンプスケアもあります。
湖都と呼ばれる謎の空間で目覚めた主人公は、失った記憶と現世に戻るための手がかりを求めて奔走する。
Steamにて配信されています。
・設定や世界観が作り込まれた作品をプレイしたい方
・設定や世界観の作り込み
・キャラクターの作り込み
・演出力
・イラスト
・意外とハードなストーリー
・BGM
とくに”駅”で流れるBGMが好き
・ゲーム全般
※詳細は感想にて
・目に付いたオブジェクトは全部調べること
・こまめにセーブすること
・セーブスロットは分けた方がエンディング回収で捗る
・一周目は固定エンドなのでお気楽に
・謎解きはひらめきが必要になる、考え続ければ解けるという類のものではないので、詰まったら攻略を見ても良いと思う

※辛辣なレビューになるので、本作が好きな方は読まない方が良いかもしれません
世界観やストーリーは100点、ゲームとしては10点というのが率直な感想です。
表現の媒体、あるいは開発ツールを間違えているのでは?と思います。
ツクール製のよくあるアドベンチャーゲームです。
マップを探索し、アイテムを入手、謎解き、追いかけっこをしてストーリーを進めます。
ただ、そのどれもが面白くない上に、本作には必要無いのです。
本作でプレイヤーが求められていることは1つです。
”与えられたマップに対して徹底的にすべてのオブジェクトを調べること”
これだけです。これが最後まで続きます。
たとえば、”鍵”を入手したとします。

どこの鍵なのか分かりません。
必然的に、マップにある”扉”を虱潰しに調べることになります。
万事このような調子なのです。
◯◯の鍵を入手!
◯◯の扉を開けることができる!この先には何が…?!
というワクワク感が無く、探索することを強要されるのに、探索する楽しさが無いのです。
序盤の1時間、中盤の1時間、終盤の1時間。
どこを切り取っても、プレイ体験として何も変わり映えが無いです。
ゲームをプレイする楽しさが感じられません。
ゲームの導線も雑です。
点が線にならず、、
なぜそのギミックを発動するのか?
なぜその謎解きをする必要があるのか?
そもそも何を求められているのか?
やらされてる感が強いです。
あらゆる”ゲーム的な要素が作品に対して浮いている”ように感じられます。
謎解きの難易度も高めだと思います。
良くも悪くも、ちょっと捻っているのです。
ひらめきも必要になるので、困ったら攻略を見ても良いと思います。
※Steamにヒントが公式で書いてある(←クリックでリンク先に飛びます)
追いかけっこの難易度も高く、イライラする場面も多かったです。
このような手順で、ノンストップで駆け抜ける必要がありますよ
という作りになっています。
RPGツクールを選んだのがあまり良くなかったように思います。
もちろん、これはRPGツクールが悪いという意味ではありません。
表現の媒体として、本作には適切でないように感じられるのです。
本作の魅力は、設定、世界観、ストーリー、キャラクターにあります。

ゲームの部分はともかく、設定などは本当に魅力的です。
”演出力”も見事だと思います。

画面がひび割れる
手で遮る
このようなメタ的な演出は素晴らしいセンスだと思います。
↓のスクショを見てください。

隣のキャラクターに肩を貸す
キャラクターを背負う
細かなグラフィックまでちゃんと作り込んでいます。
(ツクールを触ったことがある人なら、なおさらこの手間が理解できるはず)
個人的に、ゲームという媒体を使うのなら、”ビジュアルノベル”で作った方が良かったと思います。
上記したゲームの部分がすべて解決するし、そもそも本作はゲームの部分が必要無いのです。
専門用語も多く、設定や物語にプレイヤーを集中させるという意味でも、ビジュアルノベルの方が適切ではないでしょうか。
また、ゲームの作りとして、一本道であることもビジュアルノベルの方が向いていると思います。
類まれなるセンスと才能が、ゲームの部分によって殺されていると感じました。
傑作であると思うし、もっと評価されるべき作品です。
しかし、その魅力が伝わりづらい作りとなっています。
作者さんの強みが活かしきれていません。
ゲームであれば、ビジュアルノベル。
さらに言えば、漫画、ラノベ、アニメ(映像)で表現しても良いと思います。
とても勿体ない作品である、というのが正直な感想です。
逆に言えば、それだけの設定、世界観、ストーリー、キャラクターを持った作品であるのです。


