■ちょっと長い前置き
「Rise of Rebellion~地罰上らば竜の降る~ Demo」をプレイさせて頂きました。
2025年3月現在Steamにて無料で遊ぶことが出来ます。
とりあえず3週クリアしました。

(え?3週もやったの?)と思われるかもしれませんが、やりました。
最初は(なんだこのゲーム…)と思いましたが、遊ぶほどに面白さが見えてくるというか…
(あぁ~なるほど、こういうことをやりたいのね~)なんてゲームに愛着が湧いてくる自分がいたのです。
自分はそれなりに楽しめました。
しかし、多くのプレイヤーは本作をボロクソに評価するでしょう。
実際に出来が良いとは、とても言えません。
自分なりに表現するのなら、「2000年代初期の洋ゲー」をプレイしているような感覚でした。
やたらと難易度が高く、説明不足で不親切、グラフィックも操作感も何だか変。
そんな大昔の洋ゲーを思い出すような作品だったのです。
そして、格闘ゲームに近い作りをしているとも思います。
スト6のJPやガイル、鉄拳8のリロイやスティーブ。
受けが好きな格闘ゲーマーに刺さりそうです。
というのも、、、
本作の面白さは「受け」にあります。
相手の攻撃に対し、パリイや回避をジャストで決める。
言い換えるのなら、相手の選択肢に最適解を返すのが楽しいゲームです。
(相手がこう来るならこう返せば良いよね~)なんてプレイが好きな人は楽しめるのではないでしょうか(楽しいとは言っていない)。
あえて格闘ゲーム的に意地悪な表現をするのなら「処理ゲー」が好きな人はハマりそうです。
受けが楽しいという意味では、フロムの「隻狼」にも似たものがあります。
逆に言えば、攻撃する爽快感のようなものは、一切ありません。
少なくとも自分は感じられませんでした。
本作について軽く調べたのですが、元フロム・ソフトウェアの開発者さんが講談社から支援を受けて制作しているらしいですね。
「世界一おもしろいアクションRPGを目指す」
実際にプレイした身として、応援する気持ちで記事を書きます。
「操作感&モーション」と「ゲームシステム」の2つを取り上げつつ解説します。
ほぼダメ出しばかりで恐縮ですが、ぜひ最後までお付き合いください。
■操作感&モーションについて
「悪い」ですね。
自分なりに表現するのなら、極限まで全てを劣化させた「ニーアレプリカント」です。
ウイスキーをガブ飲みして酩酊したニーアです。
ちなみにオートマタじゃなくてレプリカントの方です。
ちなみに音楽もニーアシリーズに似ています。
ゲームの雰囲気も伝わると思うので、音楽を楽しみつつプレイ動画を見てください。
音楽が格好良いですよね。
本当にニーアっぽいです。
操作感を言葉で説明するのは難しいのですが、、、
重厚なアクションにしたいのか、
軽快でスタイリッシュなアクションにしたいのか、
どっち付かずで中途半端なんですよね。
ソウルシリーズのような操作感にしたいのなら、軽すぎてモーションもスタイリッシュ過ぎるし、デビルメイクライのような操作感にしたいのなら、動きが硬くて重すぎます。
プレイしている感覚としては、隻狼を褪せ人でプレイしているような食い合わせの悪さを感じるんですよね。
ジャンプのモーションを見てください↓
もっさりしているのに、モーションだけはやたらとスタイリッシュです。
ドアを開けるのに、わざわざ蹴り飛ばします↓
なぜ蹴り飛ばすモーションにしたのか?
よく分からないんですよね。
シリアスな雰囲気を感じて欲しいのか、ヒャッハーして欲しいのか。
(え?どういう気持ちになって遊んで欲しいの…?)
操作感とモーションがチグハグだし、世界観もよく分かりません。
感情移入できません。
なぜ「納刀」状態と「抜刀」状態があるのかも分かりません。
抜刀していないと攻撃できません。
気付けば勝手に納刀しているときもあるし、咄嗟に敵と遭遇したときに攻撃できないことがあります。
問題は、納刀しているときのメリットが何も無いことです。
速く走れる、歩行時の音が出ない、などのメリットが何もありません。
納刀状態と抜刀状態が存在する意義が無いのです。
プレイヤーにとって足枷でしかありません。
もっとも問題なのはカメラワークです。
カメラの旋回速度が速すぎます。
※ガチで酔うと思うので3D酔いが激しい人は閲覧注意↓!!
ぐわんぐわん揺れるし、最悪です。
ここは間違いなく改善するべきです。
単純にキーレスポンスも悪いです。
(いまガードしたじゃん!)
(いま避けたじゃん!)
(なんでいまのタイミングで当たんないの?)
こんな現象が多発します。
何を提供したいのか?
何を遊んで欲しいのか?
何を楽しんで欲しいのか?
妙に混乱させるんですよね。
■システムについて
「改善の余地」があり過ぎます。
前置きでも触れましたが、本作は「受け」が面白いゲームです。
受けを代表するシステムが「ジャストパリイ」です。
動画を見てください↓
(え?敵の飛び降りモーションがヤバくなかった?水泳の飛び込みかよ)動画4秒~
そんなことは気にしないようにしましょう。
プレイした身として、とくに初見は本当によく分からなかったんですよね。
どの攻撃が「重撃」なのか?
敵の「攻撃方向」とは具体的に何を指すのか?
本当に「ジャストパリイ」が成功しているのか?
分かりづらいです。
当たり前ですが、動画はゆっくりと観察できますが、プレイしているとさらに余裕は無くなります。
↓の動画を見てください。
相手の盾を振るようなモーションが「重撃」であり、左方向にレバーを倒しながらタイミング良くパリイすることで「ジャストパリイ」が成立しています。
分かりづらくないですか?
「相手の攻撃方向にレバーを倒す」というのが問題です。
たとえば、袈裟斬りモーションの攻撃があったとします。
↓の画像を見てください。

このような斜め方向の攻撃が来た場合、上からの攻撃なのか?それとも右からの攻撃なのか?
プレイヤーによって判断が分かれるでしょう。
攻撃方向を判断する際の基準は、敵のモーションだけです。
何かしらのエフェクトを付けて、攻撃方向は明確に分かるようにするべきです。
また、ジャストパリイに失敗したときに「タイミング」の問題なのか?
それとも「方向」の問題なのか?
それも分かりません。
なぜ失敗したのか?何が悪くて何を改善すれば良いのか?
プレイヤーは混乱するだけです。
ジャストパリイが成功したのかどうかも分かりづらいです。
水面に浮いた油のような、虹色の光エフェクトがジャストパリイ成功です。
分かりづらすぎます。
◯◯が成功した!とプレイヤーに認識させるのは、ゲームの重要なフィードバックです。
「ジャストパリイが成功!!あなたのプレイは素晴らしい!」
このようにプレイヤーに認識されなければいけません。
そこが弱すぎます。
もっと派手なエフェクトやSEでプレイヤーにフィードバックをして欲しいです。
ところで、動画内で(なんか最後に石柱みたいなのが出現しているけどアレは何なんだ?)と思いませんでしたか?
これは敵の体感ゲージ(黄色いゲージ)を削りきったときに発動できる「致命攻撃」のようなものです。
この致命攻撃も意味不明な仕様です。
時限式で発動して、石柱が突き出すのですが…
時限式な意味が分かりません。
体感を削り切る→致命攻撃で即座に大ダメージ、これで良くないですか?
わざわざ遅れて発動する意味がよく分かりません。
さらに、この石柱が突き出すときにプレイヤーにも判定があるんですよ。
石柱が突き出すときにプレイヤーに当たるとダメージを受けます。
動画内で、最後に敵から距離を取っているのは、このためです。
あまりに意味不明な仕様です。
システムとは少しズレますが、テキストの書き方も問題です。


フレーバーテキストと、ゲーム内での操作と効果がごちゃ混ぜになっています。
(ん?楔と地契?翡翠の楔?大地エネルギーのメイ?あぁ、つまり回復魔法みたいなもんね…)
ファルシのルシがコクーンでパージしてR2+☓ボタンで回復するパルスのファルシに選ばれたルシがコクーンである
無駄に分かりづらいだけです。
情報を咀嚼するだけで疲れます。
ちなみに本作には「ジャスト回避」というシステムもあって、「ジャストパリイ」と同じ問題を抱えています。
■最後に
「この作品はこうすればもっと面白くなるのに…」
これはゲームだけではなく、あらゆる創作物に抱きがちなものです。
本作は「こうすればもっと面白くなるのに…」という部分にスポットを当てすぎなんですよ。
ゲームで言えば、高難度のチャレンジエリアを追加したDLCのような作りなんです。
本編をクリアした人間が、さらなる刺激を求めて手を出すような作りになっているんです。
さらに複雑に、さらに癖を増し、本編をクリアした人がもっと楽しめるように(そういったものは、本編という土台があるからこそ成立するわけなのだが…)。
本作のジャストパリイの仕様が如実です。
タイミングを合わせるだけじゃなくて、攻撃の方向まで組み合わせたら面白いんじゃないか?
分かります。
やりたいことは分かります。
実際に楽しいです。
楽しいからこそ3週も遊びました。
しかし、多くのプレイヤーが楽しさにたどり着けない作りになっているのが大問題なのです。
たとえば、子どもに算数を教えるときに、いきなり「掛け算」と「割り算」を教えません。
まずは「足し算」と「引き算」を教えるべきです。
野球を教えるのなら、いきなり「盗塁」や「送りバント」のような搦め手から教えません。
「キャッチボール」から教えるべきです。
「世界一おもしろいアクションRPGを目指す」
やりたいことは分かります。
制作者さんは絶対にゲーマーですよね。
実際にプレイすれば分かるのですが、制作者さんのゲームに対する姿勢が伝わってくるんですよ。
作品に制作者さんのエゴ(あえてこの表現をさせて欲しい)を色濃く反映させるのは決して悪いことではありません。
何がしたいのか分からない作品よりは絶対に良いです。
実際に、箸にも棒にもかからない作品ではありません。
本当に駄目な作品というのは「虚無」です。
「そっ閉じ」です。
あまり上手く行っていない部分があるのは事実ですが、語りたくなるだけの魅力があるのです。
だから言わせてください。
もっとプレイヤーに寄り添うべきです。
もっとユーザーフレンドリーに作るべきです。
冒頭に、格闘ゲームに似ていると書きましたが、これは皮肉でもあります。
とにかく「分からない」のです。
あらゆる要素が分かりづらすぎます。
やたらと複雑で難しいことを求められているように感じられるのです。
何が起こっているのか?何を求められているのか?何をすれば良いのか?
アクションゲームは「頭では分かっているけれど、操作が追いつかない」という作りが理想だと思います。
自分のプレイに問題がある、そのようにプレイヤーに感じてもらえなければ、ただの理不尽ゲーとなり、ゲームを遊んでもらえません。
明らかに本作はゲームの作りに問題があります。
本当は面白いのに、ドハマリする可能性を秘めているのに、悪い部分が目立ち過ぎます。
面白さにたどり着く前に脱落しても仕方のない作りになっています。
もっと難易度を下げろ、
システムをシンプルにしろ、
そんなことを言いたいのではありません。
悪い意味で、制作者さんのやりたいことが前面に出過ぎて、ユーザーが置いてけぼりになっています。
これでは、一部の好事家しか楽しさを見い出せません。
大多数のプレイヤーは投げ出すでしょう。
このゲームに足りないのは、「楽しさへの導線」です。
何が楽しい作品なのか?
どのような遊び方をして欲しいのか?
もっとユーザーに寄り添うように作れば、化ける可能性は十分にあると思います。