人形劇と怪獣特撮を組み合わせた作品です。
実際の人間は出てきません。
明治時代、故郷の村に主人公は帰ってくる。
そこで怪獣と心を通わせる目の見えない少女と出会うのだが…
・怪獣特撮が好きな方
・グロなどが苦手なコンプラを守った作品が見たい方
・幻想的な作品が見たい方
※これから書くことは、完全に自分の好みによるものが大きいです。また、この作品が好きな方は読まない方が良いと思います。
明確に嫌いな映画です。
ボクはこの作品が好きではありません。
人形やミニチュアを使った映像表現や、怪獣の造形は大好きです。
ただし、怪獣の扱い方は嫌いです。
ボクは「怪獣が人間にとって都合の良い存在」として扱われるのが大嫌いなんです。
本作の、怪獣であるネブラが「可愛そうなヒロインに無条件に味方する」様子にどうしても乗ることが出来ないのです。
怪獣は、天災のようなもので、人間の枠には収まらない存在でいて欲しいのです。
社会のしがらみや、コンプラのようなものを超越した存在でいて欲しいのです。
善も悪も無い、ただそこに存在する脅威であって欲しいのです。
本作における怪獣が、少女の怒りのメタファーとして取り扱われるのは分かります。
それ自体は良いです。
ただ、そこに説得力が無いのです。
たとえば、少女の母がネブラを何らかの形で助けていた(食べ物を与えていたなど)。
たとえば、同じ異形としてのシンパシーを互いに感じていた。
怪獣が少女を守る、その行動原理に説得力を持たせるような描写が無いのが不満なのです。
怪獣に対する真摯な描き方がされているとは思えません。
「人間にとって都合の良い存在」として描かれるばかりで、薄っぺらに感じてしまうのです。
いかにも人間が考え出した都合の良い幻想として怪獣が扱われているのが我慢ならないのです。
余談ですが、昭和ガメラが子どもが大好きで、無条件に子どもに味方するのも大嫌いです。
そんなコンプラ怪獣は好きになれません。
その点、平成ガメラは素晴らしいです。
ガメラは古代兵器であり、人間ではなく地球の守護者であるという設定があります。
あくまで人間の味方ではなく、地球を守るために戦う。
この設定は本当に大好きです。
「怪獣とは何か?」
そもそもの価値観が合わないのでしょう。
もちろん、ボクの持っている価値観も相当に歪んだものであり、正しいものではありません。
ネブラの造形は大好きです。
水しぶきを上げながら尾を持ち上げるシーン。
霧をゆっくりと吸い込むシーン。
映像として見るなら大好きです。